子どもは下(シモ)の話、おしっこやうんちの話って好きですよね。小さいころに小学生男子が「〇ン〇ン、出べそ~」やスカートめくりをしたり・・・これは昭和の時代の話です。今もそのスタンスでいると危ない!親世代ではまだまだ性犯罪に縁遠いと思ってしまっている方も多いのではないでしょうか?
お子さんには大人は悪いことをしないと思っているのです。気を付けるべきこと考えていきましょう。
「子ども性暴力防止法」成立
6月19日の国会で「児童対象性暴力の防止に関する法律案(通称:子ども性暴力防止法)」が成立しました。
6/27付の読売KODOMO新聞ではこの法律を「勝手に体に触るなどのわいせつな行為は性犯罪と呼ばれます。過去に性犯罪を犯した人は子どもと接する先生や保育士といった仕事に就けないようにする法律」と紹介されていました。
この法律には日本版DBSが含まれています。それはイギリスの「DBS制度(Disclosure and Barring Service=前歴開示・前歴者就業制限機構)」を参考にしているのです。
後述しますが、事業者が職員として採用する際に事前にこども家庭庁に申請し、性犯罪歴がなければ「犯罪事実確認書」がそのまま事業者に交付され、性犯罪歴ありの場合は本人に開示について事前通達があり、本人が内定辞退する場合には犯罪歴は通知されず申請却下されます。(引用、参考元:NHKニュース2024/3/19 「子どもを守る日本版DBS法案決定」:https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/106604.html)
イギリスのDBSへの照会には事業者側が1人につき日本円でおよそ7000円を負担するため金銭的な負担が大きいことや、本人から提供された個人情報をもとにDBSに照会するため、「国外で罪を犯した人や、途中で名前を変えた人などは十分に追跡できるのかなど情報の正確さには不安が残る」とした上で、「DBSだけに頼るのではなく事業所による研修などの努力も必要だ」と話していました。
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/106604.html
イギリスのDBS制度でも上記のように事業者への負担や法の抜け道があることから、日本で実行されてからも心配はありますが、まずはこの法案が通ったことに意味はあると考えます。
法律の中身は?
学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g21309061.htm)、こども家庭庁からのこの法律の概要案を引用します。
学校設置者等(学校、児童福祉施設等)及び民間教育保育等事業者(学習塾等)について、その教員等及び教育保育等従事者による児童対象性暴力等の防止に努めるとともに、被害児童等を適切に保護する責務を有することを規定
学校設置者等が講ずべき措置として以下のものを規定
・ 教員等に研修を受講させること、児童等との面談・児童等が相談を行いやすくするための措置
・ 教員等としてその業務を行わせる者について、4に掲げる仕組みにより特定性犯罪前科の有無を確認
→ これらを踏まえ、児童対象性暴力等が行われるおそれがある場合の防止措置(教育、保育等に従事させないこと等)を実施
・ 児童対象性暴力等の発生が疑われる場合の調査、被害児童等の保護・支援4の抜粋 内閣総理大臣は、対象事業者から申請があった場合、以下の期間における特定性犯罪(痴漢や盗撮等の条例違反を含む)前科の有無について記載した犯罪事実確認書を対象事業者に交付する。ただし、前科がある場合は、あらかじめ従事者本人に通知。本人は通知内容の訂正請求が可能
こども家庭庁 https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e81845c0-3359-433b-b848-edcd539066f5/c312ac96/20240319_laws_houan_e81845c0_06.pdf
ア 拘禁刑(服役):刑の執行終了等から20年
イ 拘禁刑(執行猶予判決を受け、猶予期間満了):裁判確定日から10年
ウ 罰金:刑の執行終了等から10年
・ 犯罪事実確認書等の適正な管理(情報の厳正な管理・一定期間経過後の廃棄等)
子どもを性犯罪から守るためには?
2020年にはマッチング制度によるベビーシッターサービスで派遣されたベビーシッターが強制わいせつで2人逮捕されています。(東京新聞記事2020年;https://www.tokyo-np.co.jp/article/42560)この事件を契機に性犯罪歴の照会、証明をという動きが出てきて、今回の日本版DBSへつながっていきました。
この1年だけでも学校の先生や保育士さん、プール教室の先生、商業施設での他人からの性犯罪のニュースを聞き、そのたびにゾッとし子どもが被害にあわないにはどうしたらいいのか?と考えてます。
外出先など大人が子供が被害にあわないように注意ができる範囲はしますが、学校や保育園などでは子どもたちだけです。子どもの自衛も必要になります。自衛は力では大人にかなわないので、身を守るための意識改革になります。
自分・周りが過去に受けた性犯罪
振り返ってみると、中年の自分が今現在心理的なダメージを受けるほどのものに遭遇することはなかったのですが、記憶を呼び戻すと・・・
中学生のころには電車内で痴漢にあったことが3回、電車内で制服で座って寝ている姿を盗撮されたことが1回、電車内で露出狂に会ったことが1回、小学校の頃に駅の前で小学生の靴下を無理やり脱がす男の人に遭遇したことが2回あります。大学生以降は自分も強くなって、どうも怪しい人だと思う場合にははじめから威嚇したり、車両を移動することで回避できました。
公園、外出時は必ず親や年上の姉がいましたので、被害に遭遇することがありませんでした。ただじっと待って、隙を伺っているような性犯罪者がいればターゲットにならないとは言い切れません。
人によっては幼少時、未成年で受けた性犯罪は極端なストレス、ダメージとなり、PTSD(Post Traumatic Stress Disorder)=心的外傷後ストレス障害となり、成人後も悩む方もいるでしょう。その被害のために、人生自体が大きく変わることだってあるでしょう。
幼児からの大事なところを学ぶ取り組み「プライベートパーツ」とは?
子どもの通園先の保育園で3、4、5歳児クラスは年1回プライベートパーツについて学ぶ機会があります。事前に先生からもその機会があると説明がありました。「だいじだいじどーこだ?」という絵本を使って、大事な部分:性器、胸、お尻を他人に見せない、触らせないことを学んでいます。
日頃から通園先の幼児のクラスでお着換えは男女仕切りを設けてお互いに見えないようにしていますが、この機会の直後はパンツを見せないように着替えるなどプライベートパーツを意識して着替えたそうです。
下の子どもがはじめてプライベートパーツについて学んできた後に「お胸は何からできているの?」「〇(男性器)は何からできているの?」と聞いてきて、私も正解がよくわからないのでホルモンや乳腺の話を入れて医学的に回答しました。それだけプライベートパーツのことが気になったんだなと子どもにはよいきっかけだと思いました。
上の子どもは転園してから2回学んできて、どこがプライベートパーツかよく理解しているようです。
この学びのため、「大事な部分、お胸、おまた、おしりは自分では触ったり見てもいいけれども、他の人には触る、見せるはだめだよ。おむつの交換で先生やお父さん、お母さんが見ることは別だけどね。トイレはお友達や家族のものぞいてはだめだよ!」というようになり、子ども自身も見せない、触らせない、覗かないという意識が出てきました。
ただ2人ともお風呂後は裸でウロウロとします。「早く服を着て!」といいますがなかなか・・・
家庭内の日常からプライベートパーツを見せない取り組み
我が家では子どもの着替えは朝食後のため、着替えを食事のところにおいて食後に着替えるとしていましたが、年長さんからは食事処でみんなの前では着替えないことにしました。
また今度子どもの夏のキャンプに行くので自分で体を洗う、髪の毛を洗うことを始めています。小学校になったら自分一人でお風呂に入るようにしようと話をしています。
下の子どもはまだ親がトイレに入っているときに扉を開けようとするのでトイレをのぞかない!と見せないようにしています。ただトイトレの一環として、上の子供のトイレの様子をのぞいてトイトレができてきたのはあるのでトイトレまでは家族のトイレの覗きは許容かと思います。→トイトレ 子供によっていろいろです ~我が家の場合~
園での出来事を聞くこと
保育園や習い事で親の目が届かない、というときに何をしたのかな?を聞くようにします。性犯罪の事前の察知ではないのですが、その指導の方が犯罪をしないのか?はちょっと気を付けて様子を見ています。申し訳ないですが女性の先生より男性の先生に厳しい目を向けてしまいます。とはいっても女性は性犯罪をしないとは断定はできません。
現在の通園先の保育士さんは全員女性でみなさん、信頼ができる先生です。日頃の園の活動の様子は保護者アプリの写真配信で自分のクラスのものが見ることができます。
ただ女性保育士さんによる暴力も話題にはなっていますね。6月には世田谷区の保育園での保育士さんが逮捕されています。児童の保護者が、手や腕にアザがあることに気づき、男児に聞いたところ「佐久間容疑者から髪を引っ張られた」という旨の話をしたという。(https://news.yahoo.co.jp/articles/5134d230f0ee354a99caee902b4cdd56d77ec9e0 記事より引用)
保育園ではけがをするとお迎えの時に散歩のときに転んだなど事情を説明されます。子どもが走って転んでの怪我は日常のものですが、もし暴力的なものが背景に潜んでいる可能性もあります。
子どもにけがのことを聞いて、自分からも話してもらう、たまに報告されない怪我を見つけた時にはいつできた?痛かったねと話して事情を聞いています。4-5歳からはだいたいの時間も言えて話せますが、時間の概念があいまいな2-3歳は「昨日、さっき」が1‐2か月前のこともざらです。でも自分でもおかしいと気づいてくれる年齢でもあります(個人差はあります)。
トイレには決して一人にしない
トイレ!とトイレに駆け込むことがあります。その時も目を離さないように追いかけ、「トイレでは悪い人が子どもがかわいいから連れ去ったり、連れ込んだり危ないんだよ。一人になってはダメ!」と言い聞かせています。最近は上の子供は一人で個室トイレで用を足せるので、戸の前で待つこともするようになりました。
2011年3月に熊本県のスーパーで3歳の女の子がトイレで殺害された事件、ご両親の活動やその後が報道されることがあります。警察庁より被害者の父親の広島大会の講演会の記事があり引用します。
そのとき、心が走ってまいりまして、「パパ、トイレに行っていい? おしっこがしたい」と言って私のところへ来ました。1人で行くのがまだ不安な私は、「ちょっと待ちなさい」と娘に言葉をかけました。しかし、娘は「どうしても今行きたい」と言い、その足で私の前からトイレのほうへスキップをして、トイレへ向かいました。私の場所からトイレまでは15メートルぐらいの距離しかありませんでした。私の目でずっと娘を追い、娘がトイレの角を曲がるところまで私はしっかりと確認し、そしてその後、すぐに娘のほうへ向かいました。スキップをしてトイレへ向かっていく娘の姿は、今でも私の目に焼きついて離れません。
そして、迎えに行った私を待っていたのは、不安という2つの文字でした。呼びかけても娘の声は返ってきません。何度も何度も「心、心」と呼びましたが、「パパ、ママ」という娘の声は返ってきませんでした。しかし、トイレに行っているものだと思っている私は、まず男性トイレを探しに行きました。しかし、そのトイレの中には娘の姿はありませんでした。その後、妻と合流し、妻が女性のトイレを見に行きました。しかし、「心はいないよ」という返事が私に返ってきました。そのときに思ったのは、隣にある100円ショップに私が目を離した隙に行ったのだと思い、不安が普通の日常に変わりました。しかし、100円ショップを探しても娘の姿はありませんでした。その後、やはりトイレから出ていった姿も見ていませんので、もう一度トイレへ帰り、娘を探しました。何度探しても、何度呼んでも心の声は返ってきませんでした。
https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/kou-kei/houkoku_h27/hiroshima_giji_kicho.html
トイレまで15メートルの距離で目を離したのはほんの数分。防犯カメラには女の子がトイレにいって1分後に犯人が入っていきます。一瞬で多目的トイレに被害者を連れ去り、強制わいせつ、殺害をして犯人のリュックに入れるという事件でした。ほんの1分でも最悪の結果になっています。この事件は子どもの姿から目を決して離してはいけない、と心に教訓となりました。日常で行くスーパーに犯罪者が潜んでいるとは思わないでしょう。
その後も多目的トイレを利用した性犯罪のニュースは耳にします。多目的トイレは外側から中の様子が見えない、聞こえない密室状態です。利用者には外への音や臭いを気にする方もいるのでしょうが、プライバシーを守りつつの犯罪抑止のためにも、多目的トイレは通常個室トイレに近い透明性、例えば足元側が見える、音が多少聞こえるなどは必要ではと思います。
商業施設のトイレ前には休憩ベンチがありますが、子供用リュックをもってトイレの子どもを待っていると装って子どもを狙っている犯罪者もいるといいます。そうすると日頃からとにかく注意するしかありません。(参考記事:神戸新聞NEXT2022/6/4 https://www.kobe-np.co.jp/rentoku/omoshiro/202206/0015358718.shtml)
子どもを守るために日本版DBS活用はもっともです。この法案の抜け道を塞いで、犯罪者が子どもと関わることがなくなるように願っています。そして家庭内でできること、子どもとできることを気を付けて、そして他人の子どもも犯罪者を守れるようにしていきたいと思います。
小学生からは見守りGPSサービスの活用
未就学前は保育園以外はほぼ子どもは親と一緒にいます。小学校になると登下校も親の目を離れて危険の1つになります。
2004年の奈良県で起きた小学1年生の下校途中の事件、誘拐と殺害事件も記憶に残っています。(産経新聞ニュース:https://www.sankei.com/article/20211205-DHRLDIKYBNPXHCVZZOM3EJEVZY/)2017年には千葉県松戸市で通学を見守っていたはずのPTA会長が小学3年生の児童を殺害をしました。(NHKニュース:https://www3.nhk.or.jp/news/special/jiken_kisha/shougen/shougen11-2/)
今後小学生になったら・・・という不安があり、小学生のお子さんのいるママ友に見守れない登下校をどうしているか聞きました。この1年で聞いたところでは一番多いのが「BoT」をランドセルに入れているという回答が多いのです。はじめて聞いたときは何それ?状態でしたが、何度も耳にして、小学生になったら我が家も導入しようかと考えています。防犯ブザーをランドセルに付けている小学生も多いですね。
こども見守りGPSサービスは複数ありますがBoT(https://www.bsize.com/)は子どもと話ができるタイプがあります。学校帰りに機器を入れたランドセルを置いて遊びに行ってしまうと意味がありませんが、子どもが帰ってこない場合に位置情報を検索できたりが可能です。
塾などの習い事などがある場合には子ども用の携帯を渡して番号登録は家族、親族のみなど限定しているというママさんの話も聞きました。これらは子どもの性犯罪を減らす、ということに直結はしませんが、子どもに万一の場合に即座に位置情報が確認できます。
未就学前は常時保護者や保育園、幼稚園でみてもらっている環境から、小学生になると常時大人が見守る環境ではなくなっていくので、ますます子ども自身の防衛力も必要になります。
子どもと事前に小学校までの通学路は歩く練習し、車の通る大通りを選択して小道には入らないようにしています。子どもたちを守る法案、管理者側もアップデートしていただき子どもに関わる人物については性犯罪照会はぜひお願いしたい。
犯罪が起きる「場所」に注意を!
「子どもは「この場所」で襲われる」という本を読んでいます。不審者は一見見たただけではわからず、「入りやすく、見えにくい」場所を好む、狙われやすい場所の見分け方を子どもに教えてあげればいいい(本より引用)そうです。通学路や出歩く場所に注意していきたいと思います。
小児性愛障害は依存?病気?
そのような犯罪を起こしてしまう方は子どもに関わらない職業選択をしてほしいですし、衝動が抑えられないのであればこれは「精神疾患」「依存症」の1つであり、治療が必要なのです。
精神科医の福井裕輝さんが設立した民間団体、性障害専門医療センター(SOMEC)(https://somec.org/)が治療を担っています。が必要な治療にもかかわらず自費治療となります。
日本においては性犯罪治療は一般精神医療として認められておらず、対策はまったくなされていません。性障害専門医療センターでは、外来治療にて、認知行動療法や薬物療法を提供します。日本で唯一の性障害治療専門機関です。
性犯罪被害者をゼロにするために性犯罪加害者をゼロにする、それがわれわれNPOの使命です。性障害専門医療センターでは、DSM-5(国際的な診断基準)におけるパラフィリア障害群に該当するような性的問題行動(盗撮、痴漢、露出、強制わいせつ、覗き、強姦、児童ポルノ、家庭内でのわいせつ行為等)に対する再犯防止プログラムを実施しています。
https://somec.org/
再犯防止に向けて、臨床心理士や精神科医といった専門家がサポートいたします。
今回の法案を契機に子どもに関わる性犯罪者が0になってほしい、再犯については性犯罪者を0にするための治療を受けられるようにしてほしいと思います。加害者が自費で治療を受けるのだろうか?という点が気がかりです。
いろいろ考えても、家庭外では危険がわんさかとあり、できることをやって子供たちを守っていきたい。自分の子どもも他人の子どもも一緒に!子どもに安全な世の中を!