総合病院では●●科に診療科が分かれて、専門性のある診療をしていますね。その科はどうやって決めているか考えたことはありますか?
今回は専攻科を決めていない医学生、初期研修医さん向けですが、気になっている方もぜひ見てください。
親が開業しているか否か?はポイント
病院や診療所を開設している家族がいる場合は、そこを継ぐために必要な診療科を決めるとなります。
ですので、医学部生が親や親戚が医師でかつ自分の病院があるのか、で学生時代にすでに行先が決まっている学生さんもいるでしょう。専門を変えて継ぐという場合もあるので、必ず一緒ではなくていいとは思いますが、かかりつけの患者さんがいる手前、親とも相談が必要になります。
親が開業医以外の勤務医であったり、医師でなければ通常は専門は自由に選べます。それではいつ頃に進む専門を決めるのか?
2004年に大きく変わったこと!
2004年に「新医師臨床臨床制度」という制度が決まりました。
それまでは医学生時代に専門を決めて、卒業と同時に診療科の門を叩いて入るという形か、スーパーローテート方式といって1-2年ほど各診療科をローテーションした末に診療科を決める、もしくは基礎の研究に行きたい、大学院に進むという選択もありました。これだと人によっては専門の診療に偏った診療が行われるということが懸念されました。
この制度になって、2年以上の初期臨床研修を受けることが必須となりました。
卒後約2年は内科、外科、救急科、精神科、産婦人科、地域医療など各診療科を回り、幅広い診療能力を身につけましょうという流れとなったのです。
その各科を回る中で3年目以降の診療科を決めていくことになります。すでに科を決めていても、実際の診療に携わって希望の科が変わることもありますし、どれも魅力的で迷いすぎて決まらないという状態もあると思います。さらにどこで3年目以降研修をするのかも考えるべきことで、初期研修医をした病院にそのままであったり、その診療科で名の知れてよい研修ができる病院や大学病院など、これも選択しなければなりません。
腎臓内科への選択
私はもともと鑑別診断や輸液、薬剤治療に魅力を覚えたので内科系に決めていました。
そういえば初期研修医のときに同期と一緒に「新宿の母」という占い師さんのところに行って、進むべき道を聞いてみたことがありました。「あなたは外科系は向いていないわね」とそれは知っているよというお答えでしたね。
初期研修は市中病院で行い、その病院の総合診療科へ進むか、出身大学の内科系に入るかの2択となりました。大学の内科系の見学をしに行ったのは2か所で腎臓内科と別の内科でした。
腎臓内科への決定は腎病理で糸球体をみることが好きだったこと、侵襲的手技が腎生検と中心静脈路確保と少なかったことでした。当時は大学に総合診療科がなかったので不明熱の患者さんも腎臓内科で担当していて、そうした患者さんを診療できるのも大きかったです。
現在も手先が器用と程遠いので、手技を要する処置は必要以上には避けたいのでした。また被爆のリスクを減らしたいので放射線関係の検査や治療が必要な科も除外していました。→2024年被団協のノーベル平和賞受賞と医療系被爆について考える もちろん手技を必要とされれば、気合を入れて適切に対応をしております。
腎臓内科を選んでもうすく20年、選択には後悔していません。日進月歩で、疾患や治療方法が増えて、再生医療の話もあり、医学部時代とは予想しない展開ではあります。
周りの女医の選択(2024/6/26追加)
友人女医は限定されたコミュニティですが動向はどうだったか?
大学時代の友人は自分のように専門内科に進んだのは少なめで、偶然でしょうが小児科が多く、消化器外科と外科選択は少数、あとは皮膚科でした。現在もなおその診療科で勤務医をしている人が多数、夫の留学について外国にいる友人もいます。
初期研修医は市中病院で行いましたが、その同期の女医さんは見事に進路がバラバラでした。神経内科、小児科、産婦人科、脳外科、救命救急科、皮膚科と様々でした。何科になるのかお互いに相談はしていませんが、はじめからこの分野に行きたいという目的をもってローテーションや自由選択の科を決めていました。
その同期をみると30代で開業している人も出ています。40代で高齢となった親の後を継いでいる同期もいます。それぞれがその場で活躍しており、何科がいいのか?というのはありません。
特殊な科についてはその疾患患者さんの集まる大学病院での勤務継続が給与や待遇が悪くても続けていくとの話も聞きますね。それ以外は40代になると大学に残る友人はごく少数派で、非常勤で月に数回外来手伝う程度の関わりです。医師になって専門医を取得してからはそれぞれがなんらかの縛りはあっても、自分のライフスタイルに適した病院で医師を続けている、という具合です。
設備が少なくても開業しやすいのは皮膚科、内科のようですが、開業した友人からは診療報酬の関係で保険診療のみではこの時代乗り切れない、自由診療も取り入れていくとのことでした。自分は勤務医として病院経営にノータッチのため、開業医には向いていないような気がします。
これからの方にアドバイス!
やはり興味があって楽しめる分野での診療科を選択するのが1番です。その診療をあと20-30年続けるのですから医学的興味などで楽しさが続く分野がよいと思います。もちろん数年たってから科を変えたり、いろいろ学んで総合診療、家庭医になる方もいます。
医師15年目以上となると、独立してクリニック開設をする友人や高齢となった親の代わりに院長となって病院を引き継ぐ友人もでてきます。病院のトップは経営も含めて大変で心労も多いと思います。私は勤務医であり続けたいと思います。
自分の主治医がどうしてその科に進んだのか?聞いてみるのも面白いですよ!
もし医学生さんでしたらこれから決めることですよね。女性であると将来子育て環境がどうなのか、ロールモデルになる先輩女医さんを見つけて、いろいろ聞いてみてくださいね!
女医さん向けに→進路に悩む女医さんへ:大学の医局に入局すること 子育て応援隊はいますか?シッター、病児保育についても
女医の婚活について→婚活ドクター!?~女医さんの婚活事情~How to 婚活!
[…] 専門科をどうするか→医師は自分の専門をどう決めたのか? 腎臓内科編 に書かせていただきましたが、どこの分野にすすみ、どこで後期の研修をするかは初期研修医2年目の夏ころには決める必要があります。 […]
[…] 医師は自分の専門をどう決めたのか? 腎臓内科編 に④までについての流れを記載させてもらっています。 […]