子どものマスクちゃんとできますか?どんなときに必要なのか?~国立成育医療センターのマスク運用ルールの変更から考える~

病院内でのマスク着用なしでの来院について、賛否あり

先日国立成育医療センターでマスク解禁がされました。この件も集団健診のように賛否にぎわっています。→集団健診については子どもの集団健診の是非 羞恥心に配慮は必要だが異常や虐待見逃さないか?事前の説明と配慮を をご覧ください。

はじめにSNSの情報が下記のみだったのでパッと見た瞬間にびっくりしました(https://www.ncchd.go.jp/news/2024/0523.htmlより転載)

成育医療センター内のマスク着用なし→例外場所が当然あり!

このHPに入って、よくよく見ると例外場所https://www.ncchd.go.jp/news/2024/0523.htmlより 同様に転載します)が続いて記載されています。

それをみて、当然そうだよな~と思ったのと同時にポスターでマスクを外す子どもたちが全面に出ているので、全面解禁になったのでは?と見間違いそうになるので、「マスク着用をお願いします、例外場所については●●」と逆に記載されるとよいのではと思ったのでした。

マスク着用については2023年3月13日から個人判断に変更(厚生労働省)

マスク着用については厚生労働省より「マスクの着用」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku_00001.html)について屋内のマスク着用の考え方の変更が通知されていますので、下記に転載します。

昨年3月に個人の判断とされ、医療機関の受診や混雑する電車やバス、基礎疾患がある方や妊婦さんは引き続きマスクをする判断となっています。また事業所の判断でマスク着用を求められる場合があり、病院などの医療機関はこちらに該当してマスク着用をお願いすることが多いと思います。

子どものマスク着用の注意点 正しくマスクつけていますか?

就学前のお子さんについてはそもそもマスク着用は求めていないとされていますので後程の引用をご覧ください。

この年齢のお子さんは正しくマスクをつける、マスクが鼻と口とあごを覆う状態を常に維持するのが難しいのです。

マスクがあごにいく「あごマスク」、鼻がでる「鼻マスク」といった適切なマスク着用が難しいこともありますし、また息を吐きだすことは熱を逃がすためマスクにより熱中症になるリスクもあるのです。

わが子もはじめに正しくマスクを装着してもすぐに鼻マスクになってしまいます。有効なマスク着用のためには始終みて直してあげないと、となります。鼻マスク、あごマスクが続くと、マスク自体が汚染されて感染対策としての意味がないとなってしまいます。

WHOのCoronavirus disease (COVID-19): Children and masks(https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/question-and-answers-hub/q-a-detail/q-a-children-and-masks-related-to-covid-19)にも記載がされています。

こどもについても、マスクを着用するかどうかは個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断になります。ただし、マスク着用が効果的な場面においては、マスク着用が推奨されますので、重症化リスクの高い方を守るためにもご協力をお願いします。
 ※学校生活における取扱については、文部科学省のウェブサイトを参考にしてください。
 ・ただし、乳幼児(小学校に上がる前の年齢)のマスクの着用には注意が必要であり、特に2歳未満では推奨されません2歳以上の就学前のこどもについても、マスクの着用は求めていません。
・こども自身がマスクを着用するかどうか判断できるよう、保護者や周りの大人がその判断に資するような援助をお願いします。
こどもがマスクを着用している場合には、保護者や周りの大人がこどもの体調に十分注意していただくとともに、こどもや保護者の意図に反してマスクの着用を実質的に無理強いすることならないようにしてください。特に夏場については、熱中症予防の観点から注意をお願いします。

厚生労働省HP マスク着用に関連するQ&A 問10 こどものマスク着用に関する考え方を教えてください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q6-10

2歳未満のお子さんへのマスクは危険!

上記引用にも記載がありますが日本小児科医会(https://www.jpa-web.org/dcms_media/other/2saimiman_qanda20200609.pdfより転載)からも注意がされています。

新型コロナ流行当初は赤ちゃんにも小さいマスクをつけていたり、マスクをしていないと白い眼で見られたりということがあったので、幼児の子どもがいた自分たちにもこの注意喚起がありがたかったのですが、2歳以上でもマスクによって表情が見えにくかったりマイナス面があります。転載した以外にも丁寧にQ&A,注意が記載がありますので一読をおすすめします。

病院でのマスク着用の目的

今も勤務先も含めて一般病院、クリニックでは医療スタッフはマスク着用、患者さんにも常時着用をお願いするところが多いと思います。

それは利用者の多くが高齢者であること、受診理由が風邪、発熱などで飛沫感染の可能性があることから、自分の身を守るため、相手を守るために感染対策をすることになります。

マスク着用よりも2m以上離れることが感染対策になるといいますが、病院内では待合室に座る場合は隣さんとの距離はほぼありませんし、2m以上離れられることは難しいでしょう。

一時距離をとるためにバッテンがついていた待合室の座席も今は座ってOKになっていますね。

ただ認知症患者さんですと適正なマスクの着用が難しかったりしますので着用はできなかったりします。

コロナ流行当時の病院内の対策

2020年1月にはじめの新型コロナ感染症の患者さんが判明し、ダイアモンドプリンセス号の件を境に患者数が増えてきました。

当時自分は基幹病院に勤務しており、毎日のように感染対策の会議が開かれておりました。そこでは目からの感染もあるので、目の保護ゴーグルの着用、マスクの着用、手指消毒・衛生という対策がされていきました。ただマスクは品薄になったりとN95マスクは使用後は専用の袋に入れて1-2週間は繰り返すなどの対応もありました。そこから考えると、現在はマスクが足りないなどはなく、感染対策の物品は当時よりは潤沢にありますね。

また再診で症状の変化のない患者さんには電話診療が導入され、電話で診療し処方箋を発行し薬局へ処方箋をFAXしたり、自宅に郵送をしたりと対応しました。感染が怖くて外出もしずらい患者さんにはよかったと思いますが、繰り返しの電話診療で2年たちようやく受診という患者さんもいました。

現在も自分自身は目の保護ゴーグルとマスク、手指衛生の消毒液を携帯して診療にあたっています。

どこから感染するか?→自分のケース、周囲のケース

病院内で感染したことはありませんが、過去2回、子どもの保育園でCOVID流行があったときに感染をしました。2回ともです。敵は身内にあり。子どもとはゴーグル、マスクでは接しませんから・・・当時のことは新型コロナウィルス感染症の明暗 医療現場と学会などへ記載しています。

職場の医師の感染では、やはりどこから感染したのかわからないというケースが多いです。先日感染した医師は「全くわからない、家族で自分だけ感染した、商業施設で昼ご飯のときにテーブルを拭かなかったのがよくなかったのかな?」と言っていたので、食事などの時間は危ないのだとは思います。

2023年に成育医療センターでマスクについて子どもたちにアンケート

今回成育医療センターで一部でマスクを外すこととなった根拠の1つには昨年実施されたアンケートもあるのではと思います。(マスクをつける?外す? 2023年度WEB調査 新型コロナウイルス感染症流行による親子の生活と健康への影響に関する実態調査より https://www.ncchd.go.jp/center/assets/cxc_uk_mask_20230622.pdf )小学6年生から高校2年生までの749人にアンケートがされています。一部を転載しますが、当時の多くのお子さんはマスクを着用していることがわかります。

自分の学生生活ではマスクは花粉症のときと風邪をひいて咳をするときくらいだったので、お子さんが日常生活の多くでマスクをつけていることに驚きました。「⑧お年寄りの方や病気の人にある時に」96%のお子さんがマスクを装着しています。

それぞれのこどもに「選んでいいよ」と伝えるとき、そこで一回立ち止まり、こどもの選択を尊重しながらもその背景にある理由や本当の願いに一緒に想いを寄せることができるかもしれません。
あるいは、一度決めた選択が揺らいだり変わったりすることはちっとも悪くないよと、こどもと共有することもできるかもしれません。

https://www.ncchd.go.jp/center/assets/cxc_uk_mask_20230622.pdf

アンケートの最後の文章を転載しました。

成育医療センターのマスクの着用なしに隠された意図とは?

意図は現時点で明示はされていませんが、よく考えた結論がこの5月23日から実施された状態なのでしょう。

成育医療センターに一時研修で勤務したことがありますが非常に大きく、勤務している医師のモチベーションが臨床、研究と高い素晴らしい病院です。以前掲載した本の10歳で亡くなった作者もこの病院で通院、入院治療していました。→「ビーズのおともだち」わかちゃんの本を知る 小児難病患者さんの今 移行期医療という考え方 小児の入院について

救急外来には発熱や感染症状で来院、COVID19感染のお子さんもいらっしゃると思いますのでマスクで来院は当然ですし、救急外来の場所は一般外来と別になっています。そして感染により重症化しやすいがん患者、免疫低下の持病があり通院、入院されている外来、病棟でもマスク着用は必要です。

他には元気だけれども心の病気やリハビリ通院が必要な慢性期疾患のお子さんもいらっしゃいます。心の病気やリハビリへの通院ではマスクなしで心身にとっていいのではと思いますし、個別の判断でよいではないでしょうか。

病院から一律原則マスク着用ということから、例外があるがマスクは着用しなくてもいい、という方針の転換で救われるお子さんや家族さんもいらっしゃると思います。

お子さんたち、ご家族さんたちは自分のため、他人のために考えて、今後行動されると思いますので、外野からガヤガヤ批判をいう必要はないと思います。

女医ママ
くまさん
女医ママ くまさん

国立成育医療センターのマスクなしが完全マスクなしと誤認されたり、全体に批判されている実態に心を痛めています。

大人と子どもの違いもあるでしょうし、現在は個人判断の時期に来ています。

何より子どもが正しくマスクをつけられるかは、周りの大人も見てあげないといけないですし、熱中症の時期には逆に身体にリスクです。

必要以上に他人に圧をかけないように、なぜそうなるのか?という意識で、そして子どもの未来のためにも病院や医師を批判しないでいただきたいと思います。

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