我が家の下の子供は電車好きです。週末に何したい?と聞くと「踏切!電車みたい!」というので買い物や公園帰りにお気に入りの踏切スポットに寄って10分ほど、長いと30分滞在して電車の往来を眺めています。
その様子はママ鉄チョイスのトレインビュー:踏切、橋、路面電車、食事処紹介の冒頭に掲載していますのでご覧ください!
今回は踏切事故をきっかけに知った日本の踏切の種類とその問題点についてがテーマです。踏切が気になる方向けです。
下のいらすとやさんの向かって左にある踏切警標は以前はバッテンの真ん中が黄色で間違いと指摘されていましたが、現在は黒の正規のものに変わっています。
遮断機、警報機のない踏切の存在 事故を受けて第4種踏切をなくす動きへ
先日お子さんが踏切で事故に遭ったというニュースを耳にしていましたが、詳細は見ていませんでした。
5月9日付けの読売KODOMO新聞で「危険!警報機・遮断機ない踏切」記事。子どもが記事を読みたいというのでおそらくこの事故のことだと思い読みました。愛犬を追いかけて踏切に入ってしまったそうですが、こんな危険な踏切があるとは・・・
群馬県高崎市のローカル線の踏切で4月、市内の小学4年生、渋沢 姫星愛 さん(9)が電車にはねられて亡くなった。現場は、警報機や遮断機がなく、各地で事故が相次ぐ「第4種踏切」だった。父の 訓 さん(44)は「悲しい事故が二度と起きないように、全国で安全対策を進めてほしい」と訴えている。
事故を受け、高崎市は市内21か所の4種踏切をすべてなくすと表明した。経営状況が厳しい上信電鉄に代わり、2025年度から警報・遮断機がある1種踏切への切り替え費用を負担する。
群馬県内には計74か所の4種踏切があるが、高崎市に続き、過去に死亡事故が起きた富岡市やみどり市も解消に向けて動き出した。県も「29年度末までの全面解消」を掲げ、県内市町村の意向確認などに乗り出した。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240509-OYT1T50002/
群馬県高崎市吉井町の上信電鉄の踏切で6日、小学4年女児(9)が電車にはねられて死亡した事故を受け、同市は2025年度から5年間で、事故があった踏切を含め市内に21カ所ある警報機、遮断機がない「第4種踏切」を全て解消する方針を発表した。地元から廃止の合意が得られない場合、警報機と遮断機を設置した「第1種」に切り替える。21カ所の第4種踏切は全て上信電鉄にある。本来は踏切種別の切り替えは鉄道事業者の責任で実施する。しかし、中小民鉄の同社には負担が重く、速やかな安全確保を進めるため、市が肩代わりすることにした。 市によると、第1種への切り替え費用は1カ所当たり1500万~3千万円程度とみられ、市費と国庫補助金で対応する。市は毎年度6千万円程度を予算計上し、切り替え後の保守や点検費用も負担する。富岡賢治市長は「人命に関わることなので、速やかに対応することにした」とのコメントを出した。県によると、第4種踏切は県内に74カ所あり、上信電鉄が45カ所と6割を占めている。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/321732
踏切事故は減少傾向だがまだ多い
国土交通省鉄道局の資料の図「踏切事故件数の推移」を下記転載します。(https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/fumikiri/fu_02.html )60年前より3割程度の件数と減少しており、第一種踏切の数が相対的に91%まで増加しています。
ただ過去と比較して減ったといっても踏切事故は約2日に1件、約4日に1人が死亡するペースで発生し、令和4年度の死亡者数92人のうち、約3割が65歳以上です。(https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/fumikiri/fu_02.html より文章引用)
踏切の種類は4種類だが実質3種類+非公認の1種類
読売新聞記事より( https://www.yomiuri.co.jp/local/kagawa/feature/CO065556/20230516-OYTAT50000/)より踏切の種類の図を転載しています。
本来は第1種踏切、第2種踏切、第3種踏切、第4種踏切の4種類があります。係員が遮断機を操作する第2種踏切は現在ないそうです。第4種踏切も×で黄色と黒の縞模様の踏切警標があります。そして図にもある勝手踏切というもの、後述します。
国土交通省(https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/fumikiri/fu_01.html)の国土交通省鉄道局資料より以下の図を転載します。図のように踏切の数は60年かけて半減しており、第一種踏切が増えていますがまだ1割が危ない踏切です。
その他の種類について、子どもが見に行く近所にあるのは遮断機、警報機のある第1種踏切です。第3種は警報機のみで2%、第4種は遮断機も警報機なし、7%で全国に2400か所にあります。(読売KODOMO新聞記事より数値を引用)
なぜ第4種踏切が残っているのか?
下記のように危険な第4種踏切は1987年から新設はされていないので数は増えていません。しかし、前述の引用にもありますが第4種から第1種へ変更するためには費用が1500~3000万円程度かかるからだそうです。踏切が廃止されると利用者には生活に不便になるため、廃止の選択も難しいわけです。これは人命にかかわるため国のお金でできないかと思うわけですが数が多すぎます。
1961年に制定された踏切道改良促進法は、警報機や遮断機が設置された「第1種踏切」への格上げなどについて、手続きや国の補助の仕組みを盛り込んだ。1987年に国交省が定めた「普通鉄道構造規則」では、4種踏切の新設が禁じられた。
https://www.jiji.com/jc/v2?id=fumikiri201806_17
総務省からも2021年に国土交通省に第四種踏切の危険度の勧告がされています。年々数は減っているものの、費用の点や廃止は利用者の住民の反対でできなかったりしているようです。
遮断機・警報機がない第4種踏切道は、全国に約2,600か所※ 新設できないが、過渡的に認められており、解消に取り組んでいくべきもの
第4種踏切道100か所当たりの踏切事故件数は1.02件で、遮断機を備えた 第1種踏切道(同0.59件)の2倍弱
第4種踏切道を解消する取組に焦点を当て、廃止及び遮断機等の整備(第1種化)に係る課題を整理
https://www.soumu.go.jp/main_content/000826384.pdf
勝手踏切の存在
踏切の種類の中で非公認の1種類としたものが勝手踏切で、第四種踏切と同じく遮断機、警報機はなく、さらにバッテンの黄色と黒の縞模様の踏切警標がなく、本来は踏切と認められていません。この踏切の存在もまた読売KODOMO新聞に掲載がされていて初めて知りました。
もともと住居があった中に電車が通って、勝手踏切にならざるをえなかったという事情もあったりで一概に禁止もできないようで見逃される状態です。第四種踏切と異なり、認められていないものなのでこちらを第一種踏切に変更するということはないのでしょう。逆に怖い存在です。下記のように正式な踏切の約半分の数が勝手踏切です。
「勝手踏切」とは、鉄道事業者が設置した正式な踏切ではなく、地域住民などが慣例的に通行している非正規の踏切を指します。
国土交通省によると、「勝手踏切」の数は全国の鉄道事業者が把握している数だけでも1万7066カ所に上るといわれています(2021年1月時点)。
国土交通省は「勝手踏切」を踏切として認めていません。したがって、「勝手踏切」を横断する行為は無断で線路に立ち入る行為であり、違法です。
https://10mtv.jp/pc/column/article.php?column_article_id=3643#:~:text=%E5%9B%BD%E5%9C%9F%E4%BA%A4%E9%80%9A%E7%9C%81%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%81%A8,2021%E5%B9%B41%E6%9C%88%E6%99%82%E7%82%B9%EF%BC%89%E3%80%82
第四種踏切と勝手踏切は横断をする際の注意は個人の判断のため事故が起きる可能性が常にあるのです。幼児、高齢者では電車が近づくことへの注意は落ちる可能性が高くなります。
日本の踏切の数は多い
東京23区の踏切数は減少しているものの、海外の主要都市に比べて多い。パリ市プラス周辺3都市の約90倍、ニューヨークの約13倍もある(引用元:https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/fumikiri/fu_01.html)そうです。
日本の中で沖縄はモノレールだけのため唯一踏切がありません。地下鉄、高架の鉄道では踏切が必要ないのです。
4月のような痛ましい事件が起きるたびにこの危ない踏切を減らそうという動きが各地で起きている印象といくつかニュースをみて思いました。危ない踏切がある限りは事件は亡くならないですし、踏切と国土交通省が認めていない勝手踏切は対応が難しい問題です。
子どもがいつも踏切、電車を見たいといっては絵本の「踏切」、プラレールの踏切を思い浮かべていましたが、踏切が警報も遮断機もないものもあると気づかされました。この問題に個人で取り組むことは難しいのですが、できるだけ多くの人に危険性を知ってもらいたいと思います。
今回子どもたちには子どもの好きな踏切ではないところがある、そこで子どもが事故に巻き込まれたことを話しています。
踏切ゲートの導入という別の手
対策として読売KODOMO新聞では「踏切ゲート」について触れていました。
これまた私は見たことも聞いたこともありませんでした。
2021年西日本旅客鉄道株式会社で第4種踏切への対応としての踏切対策として「踏切ゲート」の開発、実施がされています。https://www.westjr.co.jp/press/article/items/210218_00_fumikiri.pdf より図、写真を転載します。
第1種の踏切と比較すると、自分で踏切を上げて線路に入ることになりますが費用が第1種踏切の10分の1ほどで済むこと、また設置時間も2時間ほどとされて導入しやすいものだそうです。
これまでの第4種踏切を第1種踏切へ変更するか、踏切を廃止するかの2つの選択から、この選択外の踏切ゲートへの変更とい選択肢が増えること、費用も減ることから変更がスムーズになるのではと期待されます。もともと第4種踏切は利用者が少なく、第1種への変更は費用上からハードルが高いので対応が進まなかったと思います。
ゲートの開発の狙いは「踏切通行者に物理的な一時停止・左右確認を促し、自動車通行不可(軽車両通行可能)」とされており、これまでのように簡単に線路に侵入ということを防ぐ意味でも十分良いのではないかと思います。
ただし踏切標識のない非正規の勝手踏切は黙認の状態のため、コストをかけて踏切ゲートを作ろうという動きはないもののと思われます。
踏切がある限りは事故はなくならない。踏切は今後減らすことを切望していかねばと思考回路が切り替りました。ただ勝手踏切の存在は日本の地域構造としては変わらないかもしれません。
ただ踏切好きの子どもの親として知った踏切の問題について取り上げました。
この他、子ども新聞がけっかけに気になって記事にしたもの→