子どもの目の話「弱視」 3歳から眼鏡で集中力UP!3歳児健診の重要性となぜ気づかないのか?(100投稿目)

女医ママ
くまさん
女医ママ くまさん

6月10日は何の日がご存じですか?

SNSで6月10日が「こどもの目の日」だという認識を持ちました。

病気についてはこれまで自分のことしか触れてきませんでしたが、こどもの目については情報を共有すべきだろうと考えまして、今回記念の100投稿目は「子どもの目、眼鏡」の話になりました。

画像はhttps://www.joawebsite.com/kodomonomenohiより転載しました。

2023年日本眼科啓発会議は、将来ある子どもたちの視力の成長を見守り、目の健康を推進するため、「はぐくもう 6歳で視力1. 0」という願いを込めて、6月1 0日「こどもの目の日」記念日を制定しました。(日本眼科医会)

https://www.gankaikai.or.jp/school-health/detail/kodomonome_610.html#:~:text=2023%E5%B9%B4%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%9C%BC%E7%A7%91%E5%95%93%E7%99%BA,%E6%97%A5%E3%82%92%E5%88%B6%E5%AE%9A%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82

青天の霹靂 ある日の電話でわかったこと

職場にいたときに保育園から電話が来ました。通常保育園から着信があると「発熱でお迎えをお願します」ですので警戒しながら出ました。

保育園の先生
保育園の先生

●●保育園です。今日保育園の眼科検診でした。眼科の先生から左目が見えにくいのかもしれないといわれました。眼科を受診してもらうとよいと思います。

女医ママ
くまさん
女医ママ くまさん

え?目ですか?わかりました。早めに受診させます。

こどもがもうすぐ3歳になろうという頃のことでした。通園先では2~3歳以上の園児では年1回眼科検診がありました。通常は保育園では内科や歯科検診はありますが、眼科検診はあるところとないところがあります。これまでそこまで必要性は考えたことがありませんでした。

振り返って思い当たったこと

こどもは絵本も読みますし、「●●電車」「バス」と指さしても話しますし、歩くのも走るのも変わったことはありません。

ただ振り返ってみると、この電話の数か月前にあった保育園の先生との個人面談で

保育園の先生
保育園の先生

紙芝居のときに興味がなくなるのか離れようとすることがありました。気にしすぎるほどではありませんが。

女医ママ
くまさん
女医ママ くまさん

集中力がないのでしょうか?

というやりとりがあったこと。

また、保育園の先生が勢ぞろいせいした写真を子どもが見たときに「お母さん?」とある保育園の先生を指さししたので「違う」と言って、子どもは親の顔を写真だとわかりにくいのかな?と思ったことがあったのでした。写真の先生は母と髪型が同じくらいで顔は似てはいませんでしたが小さいのでわからないものかなとやりすごしていました。

この2つのエピソード以外には視力が悪いとは思うことがありませんでした。本人は今の視力が急に低下したものでもないので「見えにくい」とは思っていませんから、本人からの訴えも皆無でした。

近医眼科を受診

早速この電話があってすぐに、保育園帰りに近所の眼科を受診しました。簡単な視力検査をしてもらいました。

眼科の先生
眼科の先生

確定的なことはいえません。小児の弱視の専門の病院を受診してください。紹介状をお渡しします。

とのことで診断はその場ではされず、紹介状をもらいました。

3歳児検診の視覚検査 ①一次検査:自宅検査で事前に怪しいと申告する必要がある

まもなく3歳児の検診が地域でありました。この3歳児健診の際には視覚検査があります。その流れを概説します。

一次検査は自宅で行う簡単な検査(詳細 日本弱視斜視学会HP→https://www.jasa-web.jp/general/3sai-guide/guide1)とアンケートになります。自宅での検査がうまくできない場合に問題をスルーするとあとで弱視の発見遅れにつながります。子どもがふざけたり、検査を理解できないためにうまく検査をできない可能性がありますが、弱視のため見えていない場合もあるのです。

我が家ではすでに視力に問題がある可能性があったので保育園の検査で異常指摘ありとアンケートに回答しました。保育園で指摘されなかったときに、一次検査でスルーした可能性があると後から振り返ると思ったことです。

②2次検査:健診会場で

保健センター等で行われる実際の健診です。ご家庭で視力検査が出来なかったとき、0.5の視力が確認できなかったとき、「目で気になることがある」とアンケートに記入されたときに、お子さんは健診会場でもう一度眼科検査を受けていただきます。(日本弱視斜視学会)

https://www.jasa-web.jp/general/3sai-guide

自宅で視力検査がうまくできなかったときや、面倒でしなかったときに申告しないでいると二次検査はスルーされます。つまり弱視の可能性のピックアップは保護者がアピールしないといけないのです。時間がない、うまくできなかったが日頃から目は問題なさそうだからアンケートには書かないでおこう。この行為が弱視を見逃す可能性を生みます。

2次検査は保護者が申告していないと実施されません。

③眼科精密検査:健診で異常が疑われたときに受診を勧めれます

我が家ではすでに視力異常の疑いがあり、専門外来に受診する予定と話していたので、2次検査は確かしないで外来を受診してくださいと言われました。

弱視専門外来を受診するまで

専門病院に初診となると仕事を1日休む必要があるかと思いましたが、眼科の初診は土曜日もあるので予約なしで受診可能なため紹介状を頂いて、土曜日に眼科を受診しました。

子供の視力検査、検査者は慣れた人がよいそうです

診察前に視力検査など一連の眼科検査を受けました。当時3歳になったばかりで会話はできますが集中が続きません。担当した検査の方は時間をかけて時に応援したり、ぬいぐるみをふったり、キャラクターペンで気をそらしたりして検査をしてくださいました。

この病院では平日の決まった曜日に弱視斜視外来があり、その外来曜日の担当の検査の方は子どもの視力検査に慣れているので検査も含めてそちらを受診するように言われました。

それまでの宿題として眼科検査の練習をしてくること、適切な視力検査のために受診の1週間前からアトロピン点眼をしてくることを言い渡されました。

自宅での眼科検査練習

次の外来は平日の斜視弱視の専門外来の予約となったため仕事は中抜けをする予定にしました。それまでの1か月ほどは次の検査がスムーズにいくように頂いた検査の紙(チョウチョ、犬、カラス、魚)は大中小とサイズが3種類ほどあり、それぞれボール紙に貼って子供の片眼を隠しながらその図が何かいってもらうことを練習しました。

(公益社団法人日本視能訓練士協会 健診業務委員会 3歳児健康診査における視覚検査マニュアル (第2版)chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.jaco.or.jp/wp-content/themes/jaco_renew/assets/pdf/3kenmanual_2nd.pdf より図を転載)

そしてもう1つがおなじみのランドルト環です。ただ子どもの検査で違うのはこどもが環の空いたところを「上」「左」というのが難しいので手持ち用(下記の左側)の大きな環を子供に持たせて、空いたところを自分でこの環の向きを同じ方向に向けて答えるのです。この練習もしました。

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.jaco.or.jp/wp-content/themes/jaco_renew/assets/pdf/landolt.pdf より図の転載)

何度も練習することでスムーズに答えたり、環の向きを合わせて変えることができるようになりました。自信をもって次の検査が迎えられます。

アトロピン点眼の1週間 サングラスも買いました

検査の1週間前からアトロピン点眼を1日2回行います。検査をしやすいように散瞳するものですがまぶしいという副作用があります。このときプールの時期だったため室外の水遊びは残念ですが欠席しました。

また外出でまぶしいのも大変と思い、子供用サングラスを買って、眼鏡の練習も兼ねて外出時にかけるようにしました。かわいいサングラスは子どももウキウキするようでした。

このころから子供に「今度眼鏡をかけるようになるよ。かわいい、かっこいいの選ぼうね!」と話すようにしていました。我が家では父親が眼鏡で、保育園の先生も眼鏡の先生が3名ほどいるので、本人にとって眼鏡への抵抗はないようでした。

検査当日

事前練習が功を奏して、初回の検査のときよりも集中力が続いて検査を受けることができました。検査の方もさすが慣れていました。周りにも同世代の子どもが検査を受けていて、本人も安心した様子で検査を受けることができました。

専門医の診察

30分間ほどの検査を終えて呼ばれるまで待ちます。その日は30分ほどさらに待ちました。

眼科専門医
眼科専門医

お子さんの視力は0.4ほどです。眼鏡をしましょう。眼鏡ができてからまた検査をしますね。

この視力だと将来的に眼鏡をはずせないと思います。

ずばり言われました。遠視と弱視、また事前に調べると眼鏡で視力が出てくると将来的に眼鏡をはずせる場合もあるという期待を持っていましたが、それは叶わなそうということがわかりました。

同時に視力が悪いことがなぜわからなかったのか?もっと早くわらかなかったのか?自分を責める気持ちもありましたが、この検査を受ける3歳頃ではないとわからなかったのではとも思いなおしました。

ちなみに自分が腎臓専門医ですが、眼科については学生時代にならった知識ですので、小児の弱視についての知識はほぼゼロでした。

3歳までに弱視を発見できると6歳までに視力が出てくる可能性が高い!

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.jaco.or.jp/wp-content/themes/jaco_renew/assets/pdf/sankenshikaku.pdf より転載

視覚の発達時期は限れらており、6歳頃で大人の視力1.0となります。6歳まで、できれば3歳の時点で弱視を発見できると視力が回復することが可能です。

それが冒頭のポスターの6月10日が子どもの目のとなった由来です。つまり6歳で視力1.0へ、眼科医の先生方の切実な願いであり、親として自分自身も3歳の検診前に保育園で気づいたもらったおかげでそうなりました。

後日談ですが子どもが眼鏡で登園しだしたときに同じクラスのお母さんから子どもが眼科検診で引っかかってうまくできなかったのかもしれない・・・と声をかけられました。子どもの受診経過などを話して、お母さんは安心したようでしたが、同じく弱視で眼鏡着用となり、同じクラスに眼鏡ともだちができました。

我が子の初眼鏡

さて、子どもの眼鏡、値段がすごく高いこと知っていますか?レンズが特殊で合わせて4-5万円ほどします。レンズやフレームによりもう少し安いかもしれませんが、とにかく大人の眼鏡の値段で1万円くらいと予想していると非常に高い!

ありがたいことに子どもは年齢に応じての助成で8割ほどは眼鏡の費用補助を受けることができます。専門外来ではその申請に慣れているので、先生や眼鏡のお店でも教えてもらえて、資料ももらえます。

専門のレンズ作成に時間がかかることから注文して手元に届くまでには1週間はかかるといわれました。子どもの好きな色、子どもの好きな柄の世界唯一の本人だけの眼鏡です。

デパートなどで子ども眼鏡のフロアを見たことはありませんか?「トマトグラッシーズ」(https://tomatoglasses.com/jp/)から選びましたがかわいいのです。

できた眼鏡をつけるとすぐに視力がよくなるわけではないですが見えやすいようですし、色もかわいく本人も気に入っていました。

尚、水泳のときにも専用の度を入れた水中眼鏡を作ることができると聞きました。水泳は習っていますがまだ水中眼鏡をする段階ではなく、小学校に上がって必要があったら作ればよいかなと考えています。

眼鏡生活始まる

眼科医
眼科医

お風呂、水遊びと寝るとき以外はつけてください。

先生から言われた通り、その日からお風呂と寝るとき以外は眼鏡生活がはじまりました。

我が子は順調に眼鏡生活を送れました。保育園には眼鏡のお子さんが1名いましたので、先生からクラスの子に説明もしてもらい、眼鏡ケースを預けて昼寝の時と水遊びのときは眼鏡ケースに入れてもらうようにしました。自宅にも新たに眼鏡ケースを購入して置きました。周りの子どもたちから眼鏡のことを揶揄されることはなく、そこは安心でした。

こんなに大事にしている眼鏡ですが、下の子供が1歳前後のときに注意はしていたものの2回も壊されてしまい、修理してもらいました。「眼鏡は目の一部、大事にするんだよ」と言い聞かせて、こわしはしませんがたまに喧嘩のときに眼鏡を取って投げようとします。敵は身内にあり!

その後の眼科通院にて

その後3か月、半年後に受診し、以降は半年毎の受診です。2年後に再度眼鏡を新調しました。その眼鏡用の検査だけは再びアトロピンの点眼での検査となります。それ以外はアトロピン点眼はない検査です。

本人も検査に慣れ、ランドルト環の向きを今では口で言うだけでOKとなっています。親の自分の膝に乗りたいというので視力検査の20分ほどは膝の上で検査を受けてもらっていますが、保護者は慣れすぎて何もしないので私はうつらうつらとしています。

現在、視力は1-1.2と出ています!

紙芝居も絵本も集中して見ることができ、保育園面談で指摘されることはなくなりました。

気づくことが大事であり、3歳児健診をスルーしないこと!

今の保育園では人数が少なく、眼鏡友達は1人いるかいないかくらいになっています。また新しく移動した保育園では眼科検診はありません。多くの保育園や保育園に行っていないお子さんの目の異常に気付ける初めのチャンスが3歳児健診です。

自分が内科医とはいえ多少医学知識があると思っていますが、子どもの弱視には気づけませんでした。3歳児健診で気づけた可能性がありますが、その前にわかったことで3歳の時から眼鏡を着用し、現在視力1.0となっているのです。

みなさんも普段の生活で気づけなくても、その発見のチャンスを逃さないこと!指摘されたらできる限り早くに専門外来で検査、診断が下れば眼鏡を作ってかけましょう!

*お子さんの弱視、斜視の方の情報源として→みるみるネット(https://mirumirunet.com/)HPの画像転載しています

*学校健診については→子どもの集団健診の是非 羞恥心に配慮は必要だが異常や虐待見逃さないか?事前の説明と配慮を

*一部の保育園では眼鏡をかけられないところがあるそうです→子どもが眼鏡をかけられないとは?注意すべきこと~一部の保育園、幼稚園で装用制限あり~

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