救急車到着まで10分 あなたはできる?!心肺蘇生法 何歳から学ぶ?子どもから知るべきこと!

女医ママ
くまさん
女医ママ くまさん

先日防災訓練で心肺蘇生、AEDの使用方法の講習会があって参加しました。実は病院でも受講するのですが今回は家族全員で説明を聞いて実践しました。

子どもでも救命処置の流れを知っておくことは大事ではないかと思います。

親御さんや講習を受けたけれども自信がない方向けです。

救急車コール 到着までは?

以前は平均9分というデータでしたが2022年は平均10分となっています。2024年1月の日本経済新聞より引用します。

総務省消防庁は28日までに、救急車が119番通報を受けてから現場に到着するまでの時間が、2022年は全国平均で約10.3分だったと発表した。10分を超えたのは初めて。

消防庁の担当者は「現場近くの救急車が出払っていて、遠方から向かうケースが増えた」と分析している。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF2815A0Y4A120C2000000/#:~:text=%E7%B7%8F%E5%8B%99%E7%9C%81%E6%B6%88%E9%98%B2%E5%BA%81%E3%81%AF,%E8%B6%85%E3%81%88%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%AF%E5%88%9D%E3%82%81%E3%81%A6%E3%80%82

子どもが好きなので消防署を見に行くことがありますが、救急車が停まっていることは珍しい。そのくらい出動しているのだなと思います。

急変時に救急車が来るまでに何ができるか?

一般の方でもできるのが応急処置、一時救命処置です。日頃から身に着けていくと、その場に出くわしたとき救急車をただ待つだけでなくなり、救命にもつながります。

初期救命処置、心肺蘇生法はどこで習えるか?

自動車免許取得の際や市町村、防災イベントなどで初期救命処置の講習会(無料)をやっています。

対象は中学生以上となっているところが多いですね。受講前にはWEBで先に見て流れを知るのが手っ取り早いと思います。消防庁のホームぺージで→https://www.fdma.go.jp/relocation/kyukyukikaku/oukyu/ 一般市民向けの応急手当について紹介されています。

講習会を経験した上でさらにもっと学びたいという方には、有料となりますが日本ACLS協会(https://acls.or.jp/)で一般の方向けの受講コースもあります。こちらか乳児、窒息の対応方法もあり、試験もありのコースになっています。同様にJCS-ITC(https://jcs-itc.com/index.php)で非医療者向けのコース「ハートセイバーコース」もあります。さらに学びたいという方向けです。

これまで医学生、医者として救命処置を学んできました

医学部に入った初めのオリエンテーションで初期救命処置を学びました。

医学生や研修医ではBLS(Basic Life Support)といって、心肺停止状態の人に対して行う初期救命処置の講習を受け、次に ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)というBLSの次の段階、二次心肺蘇生法の講習を受けます。

講習を受けた直後は自信をもってできるといえますが、1年2年と間があくと手順に不安がでてきます。病院では救命救急科以外では頻繁に心肺蘇生をすることが少ないのです。現在の勤務している病院では高齢者が多いので、心肺蘇生をする機会はほぼありません。そのような訳で定期的に受講しないとと思います。

まだ私個人は病院外で急変に遭遇したことがありませんが、有事には自信をもって対応ができます。それは日頃から訓練している、また経験があるからです。患者さんの急変時に誰かが司令塔となって、周囲に集まった人に何をしてほしいかとお願いしていきます。その方が現場は流れのようにスムーズです。

ただ病院外で心肺停止に遭遇した場合には関係する薬剤がありませんので、基本は初期救命処置ができることが重要です。

以前は人工呼吸と心臓マッサージが重要とされてきましたが、今はコロナ感染など人工呼吸は救助者の感染リスクも上がってしまうために心臓マッサージをしっかりしようとなっていますね。

子どもたちへの講習は?

先日、防災訓練の一環で消防団の方からこの初期救命処置の講習を受けました。はじめて幼児の自分の子どもも参加して、何歳から受講できる、実践できるのかと疑問がわきました。検索すると必ずしも決まっているわけではありませんが年齢の下限としては小学生中高年の10歳以上が対象なようです。

初期救命処置の中で大きく分けると安全確認、意識の確認、人を呼ぶ、呼吸・脈拍の確認、AEDを持ってくる・使用する、心臓マッサージの6つになります。この中で心臓マッサージで有効な胸骨圧迫を行うためにはやはり力や体格の点から10歳以上は必要かと思います。

意識・呼吸・脈拍の確認は幼児には難しいかもしれませんし、AEDのボタンは押せても安全への配慮が難しいかと思います。それ以外の安全確認、人を呼ぶは年長さんくらいからできると思います。

小中高生が救命処置をして友人を救う!

先日ニュースで小中学生のお子さんが友人の救命処置をしたことが出ていました。そう、小児でも心停止する可能性がありますね。周りにAEDも増えてきました。

西都市の中学生(中学2年)と小学生(小学6年)の兄弟が、転倒して意識を失った友人に心臓マッサージを行って救命し、市の教育委員会から表彰されました。

2人は先月22日、自宅の前で蓮さんの同級生の友人と一緒にサッカーボールを蹴って遊んでいたところ、友人が転んで後頭部を打ち、意識を失って呼吸や脈が止まりました。救急車が到着するまでのおよそ5分間、2人で協力して心臓マッサージを行った結果、呼吸が回復したということです。友人は病院に搬送されましたが、3日後には無事に退院しました。

4/26付NHKニュース https://www3.nhk.or.jp/lnews/miyazaki/20240426/5060018038.html

若くても心停止がある!子どもの心臓振盪

小学校で子どもがボールに当たって心停止してAEDで救命されたという話を聞きませんか?

小児では基礎疾患がなくてもボールが当たり心臓振盪を起こすことがあるのです。引用のようにキャッチボールで防具をつけて遊んでいる子どもは見たことがありません。

日本救急医学会より市民のための心肺蘇生より引用します。

胸にボールが当たるなどの衝撃が加わることにより、心室細動という致死的な不整脈や突然死が誘発されることがあります。
小学生同士のキャッチボール程度でも起こり、もともと心臓病もない元気な子供にも起こります。

子供の胸は大人に比べて柔らかいので、心臓震盪(しんぞうしんとう)を起こしやすいとされています。

胸にボールなどが当たる可能性がある際には、防具による予防が勧められています。現在では、財団法人「製品安全協会」によって野球とソフトボール用胸部保護の安全基準が決められ、製品の販売が開始されています。

心停止が発生した場合は、素早い心肺蘇生の開始と AEDによる除細動 が救命のために重要です。

http://aed.jaam.jp/commotio_cordis.html

このような状況で周りにいるのは一緒に遊んだりしている子供たちです。

子どもたちが誰かが倒れた時の対応を即座にとれるかは救命に関わります。

ですので就学前後の子どもたちから、救命処置の講習を受けてもらうのがいいのではないか?と思います。特に安全確認人を呼ぶことを伝えることは大切です。AEDがどこにあるか?も子どもの方が日頃から注意し見ることで場所を覚えられそうに思います。

就学前後の子どもたちに救命処置を学んでもらおう

近隣のイベントでの講習会に参加して、子どもたちも手順を習いました。真剣に聞いていましたが、心臓マッサージはうまくできませんでした。やはり有効な胸骨圧迫には力がいるので10歳以上ではないと難しそうです。

心臓マッサージのリズムは胸部に1分あたり100~120回圧迫する必要があり、アンパンマンマーチなどがよいといわれています。思ったより早いリズムでは?

関連する書籍をさがして「4ふんかんのヒーロー」という本を見つけました。救急救命士さんと臨床工学技士さんが協力して作成した心肺蘇生法が学べる体験型絵本と紹介なっています。

AEDはどこにあるの?

病院内にはAEDがあります。他には学校、バス、鉄道や船の輸送機関の駅、スポーツ関連施設、スーパー・デパートなどの商業施設に置くのが推奨されています。

全国AEDマップhttps://aedm.jp/)で自宅や学校近くのAED設置場所を把握しておくとよいですね。AEDマップを眺めると、自転車屋さんや葬儀場、コンビニ、集合住宅に設置されているところもありました。

AEDを出来るだけ早く持ってきてほしいのに場所がわからないだけで時間がかかります。どこにあるのか?気に留めながら生活することで、いざという時に●●にあるから取ってきてと頼むことができます。

それでも近くにAEDがない場合もあります。救急車にAEDが搭載されていますので、近くにAEDがなければ救急車到着まで心臓マッサージをするということも大事です。

救命処置が必要と考えた後に半数が学習行動していない

2022年の日本赤十字の1200人へアンケートをしています。図を転載します。(https://www.jrc.or.jp/press/2022/1216_029896.html

先に述べた小中学生の兄弟のように救命処置ができるには、自分が直接受講しないと自信をもってできません。現場に自分1人しかいなければ自分がやるしかありませんし、大人数いれば救急車を呼ぶ、AEDを頼む、心臓マッサージを交替してもらうとできます。

子供のうちから学習していく

大人でも行動に移せない方が半数であれば、子どものうちから学んで繰り返していくことがいいのではと思います。繰り返して身に着けたことは、咄嗟の場合に行動に移せます。

保育園でも交通ルール、地震の時の安全の行動を学んでいます。ここに初期救命処置が加わってもいいのではと思います。またボールを使うクラブに入る際には子どもたち、大人たちが学ぶことをルーチンをしておくとよいのではないでしょうか。

救急車到着まで自分たちができる対応をして、周りの命を守っていきましょう!

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