3月22日に小林製薬から「紅麹」を原料とした機能性表示製品により腎障害で入院された方がいる、その製品の自主回収について発表がありました。
その後、入院患者さんの増加、死亡者の報告、その製品を直接原料としている52社、さらにその52社からの原料を使用している173社のこと、輸入もあり海外まで巻き込んでの大きな騒動となっています。
日に日に被害者数が増えている、そのような事態です。
*下記商品画像はHPより転載させていただきました https://www.kobayashi.co.jp/seihin/choleste/
腎障害を来す製品はそれほど多くありません。
腎臓内科医としても気になっているので、ここまでのところを振り返り、まとめてみたいと思います。
一連の事件や詳細を気にされている方向けになります。
ついでに高コレステロール血症に隠れる病気についても触れます
そしてこれから新情報が出てくると思いますので、情報追加も検討します!
3月25日付で日本腎臓学会からも学会員向けに発信がありました。
小林製薬が販売した「紅麹」成分配合のサプリメントを摂取した人から、急性腎障害等の腎障害を含む健康被害が相次いで報告されています。腎障害の起因成分の同定はなされていませんが、小林製薬は製品の自主回収を行っています。会員の先生方の診療現場にも該当患者さんがおられるかも知れません。学会としても、事態を注視し、適宜情報を発信してゆきたく存じます。
日本腎臓学会 https://jsn.or.jp/medic/newstopics/formember/post-555.php
腎障害はどんな発症形式?
3/26の時点ではネット検索、文献検索しても引っかからない!
そして3/28付でようやく診療した医師からの報告が記事に掲載されました。日本大学病院と静岡県の富士市立中央病院からそれぞれ3症例、2症例の報告がされています。入院患者さんはそれ以上いますので、どんどん報告や患者さんからの報告があがってくるでしょう。
東京・板橋区にある日本大学医学部の阿部雅紀主任教授より:
問題が明らかになる前の去年11月から先月にかけて、70代女性1人と50代の女性2人が、尿が泡立つなどの症状が出たり健康診断で腎機能の異常が指摘されたりしたためこの病院を受診したということです。3人はいずれも腎臓の病気も含めて持病はありませんでしたが、腎機能が低下していたということです。
詳しい検査を行ったところいずれも薬剤などが原因で起こることが多い『尿細管間質性腎炎』と呼ばれる症状だったことから、薬の服用などについて尋ねると3人とも薬の服用はないものの、いずれも去年の春ごろから小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」を摂取し始めていたということです。3人は、1週間から数週間ほど入院し、腎機能は回復に向かっているということで、いまは退院して通院で治療を受けているということです。このうち、50代の女性2人については自宅に残っていた、この健康食品を提供してもらいアレルギー反応を調べる血液検査を行ったところ、1人は反応が認められ、もう1人は反応は出なかったということです。こうした経過について阿部主任教授は「3人がいずれも腎臓病やほかの持病がなく薬も服用していなかった。同じような時期に共通してこの健康食品を摂取していて、ほかに原因が考えられなかった」と話しています。このため阿部主任教授たちは先月1日、小林製薬に問い合わせましたが、当時は同様の情報はないと説明を受けたということで、その後、先月29日に病院を訪れた会社側の担当者に症状について詳しく伝えたということです。
NHKニュース一部改変 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240328/k10014404861000.html
富士市立中央病院より;2人の患者のうちの1人は、「紅麹コレステヘルプ」の摂取を数か月続けたところ、吐き気などの症状を訴え、受診した医療機関で腎機能障害が確認されたため、この病院を紹介されて入院したということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20240329/3030023387.html
この患者は、数週間で回復して退院し、製品の摂取を再開したところ、再び体調を崩して入院したということです。
もう1人の患者は、「紅麹コレステヘルプ」の摂取を6か月ほど続けたところ吐き気などの症状を訴え、同じように腎機能障害が確認されたため、入院したということです。
確定診断は腎生検です
記事に出てくる詳しい検査というのは腎臓の組織を一部採取する腎生検という検査になります。日本大学から報告された記事の画像に「急性~亜急性尿細管間質性腎炎」という診断レポートが掲載されています。
このように確定診断は入院しての腎生検が必要ですが、腎臓のガリウムシンチグラフィーという検査でも腎炎が怪しいかわかるケースもあります。ただしこの検査は確定診断ではないこと、この検査が陰性でも尿細管間質性腎炎を否定はできません。腎生検ができない場合には尿中の尿細管間質マーカーの推移から推測し、経過を追うこともあります。
腎生検では腎臓の炎症の病気のタイプ、炎症の派手さ、勢いを見たり、腎臓の予後(どのくらい腎臓がダメージを受けているか)がわかるので、一番重要な検査です。詳細を知りたい場合は医療者向けには腎生検ガイドブック2020 (https://cdn.jsn.or.jp/data/kb_guide_2020.pdf)をご覧ください。
ただし腎臓は血流が豊富な臓器で背中側にあるので、うつ伏せで超音波のガイド下で専用の針を片方の腎臓に刺して組織を取り、その後は安静が必要になります(超音波ガイド下経皮的針腎生検といいます)。もしくは全身麻酔下での手術で腎臓の組織の一部をとる腎生検もあります(開放腎生検といいます→詳細は https://jsn.or.jp/journal/document/47_8/853-856.pdf 手術画像あり)。
もし今回の腎炎に該当する場合には詳細な検査については腎臓の専門医に話を聞いてください。
また薬剤性腎障害についてはガイドラインもあります。さらに興味ある方はCQ2に腎生検について記載があります→https://cdn.jsn.or.jp/academicinfo/report/CKD-guideline2016.pdf
間質性腎炎とは?
あまり聞きなれない腎炎の名前だと思います。腎臓疾患を担当する内科医としてはよく遭遇する疾患です。
腎臓の構造は糸球体という毛細血管の塊とそれ以外の尿細管を含めた間質という領域に大きく分けられます。
いわゆる血尿、蛋白尿は糸球体で炎症が起きると出てきますので、IgA腎症などの糸球体腎炎では尿検査で血尿、蛋白尿が見られます。
今回の尿細管間質性腎炎では糸球体には炎症がないので血尿や蛋白尿はあまり出ません。
「尿の泡立ちの症状」があったとも記事にありますが、腎臓にダメージが強く出てくると尿蛋白が出ることがあり、それが泡立ちの症状となっていたのではないかと思います。腎機能が悪くなり、尿の出が悪くなるとむくみが出てきたりします。間質性腎炎の中には発熱や皮疹がでることもありますが、自覚症状はなく、採血で腎機能をチェックして初めてわかるということが多いタイプの腎炎です。
間質性腎炎では通常の尿一般の検査だけでは異常がない場合も多く、尿の詳しい検査が必要です。また腎機能が低下して症状が出てくるとなると、かなり腎機能が低下しないとわかりません。腎障害といっても尿量が減ることもあれば、減らないこともあります。
ですので、どのような腎障害か?今回尿細管間質性腎炎の発症形式ということですので、尿検査では尿蛋白、血尿以外に尿の間質系のマーカーをチェックし、血液検査で腎機能の表す血清クレアチニンをチェックします。
このタイプ腎炎の原因として多いのは薬剤で、抗生剤や胃薬の1つであるプロトンポンプインヒビターなどによる尿細管間質性腎炎が良くみられます。通常内服を中止すると腎機能がよくなりますが、改善乏しい場合にはステロイドという炎症を抑える薬を点滴したり、飲んでもらうことがあります。
また今後症例が増えてくるでしょうが、その患者さんたちが紅麹の製品を摂取してからどれくらいで起きやすいののか、内服した時間なのか内服した量なのかなど、随伴症状はないか、基礎疾患があると重症化しやすいかなども情報が欲しいですね。
ファンコニー症候群とは?(追加)
その後、日本腎臓学会から報告された患者47人中46人に「ファンコニー症候群」の症状が見られたとの報告がありました。(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240404/k10014412541000.html#:~:text=%E3%80%8C%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%83%8B%E3%83%BC%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AF&text=%E8%85%8E%E8%87%93%E3%81%AF%E8%A1%80%E6%B6%B2%E4%B8%AD%E3%81%AE,%E8%84%B1%E6%B0%B4%E3%81%AA%E3%81%A9%E3%82%92%E5%BC%95%E3%81%8D%E8%B5%B7%E3%81%93%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82)
Fanconi症候群は,近位尿細管の全般性溶質輸送機能障害により,本来近位尿細管で再吸収される物質が尿中への過度の喪失をきたす疾患群である。
アミノ酸,ブドウ糖,重炭酸無機リンなどの溶質再吸収が障害されその結果として代謝性アシドーシス,電解質異常,脱水,発達障害,くる病などを呈する。
https://www.shouman.jp/disease/details/02_20_050/
学会の報告では尿糖が9割近くに見られていました。糖尿病がなく、随時血糖が高くないときに尿糖陽性の場合には腎性糖尿といいますが、尿の一般検査でも尿糖がわかるので簡便には尿糖の有無を調べるもの助けになります。
自分が摂取をしていたかも?何を注意するか?どんな検査を?
現在紅麹で腎障害が出た方が服用していた製造番号が公表されている(https://www.kobayashi.co.jp/info/20240325/)ので、その該当の製品を摂取していないか?小林製薬の紅麹を使用した他社製品も公表がされていますので、その製品を摂取していないか?情報集めをしましょう。
該当したものの摂取があった場合にはいつからどのくらい摂取しているか確認します。
その製品を服用してから尿の泡立ちやむくみが起きていないか反芻します。記事ででてきた吐き気症状は、おそらく腎不全が進んで尿毒症症状として出た症状ではと思います。
直近で腎機能の採血をしていない場合、かかりつけの医療機関やお近くの医療機関を受診し、尿検査と腎機能(血清クレアチニン)の採血をしてもらってください。前述したように尿糖の有無も確認しましょう。以前のデータと比較して、新規に異常がある場合に腎臓の専門がある病院へ紹介してもらって受診いただきたいと思います。
もし摂取したのかどうかもわからないけれど不安という方は採血で腎機能のチェックをしておくとよいでしょう。慌てて走って救急外来を受診はしないでくださいね。通常の診療時間にまずは採血できる内科でよいです。
腎障害の方でスギヒラタケで急性脳症
腎臓と食べ物、というキーワードから2004年に腎障害の方がスギヒラタケを食べて急性脳症になるので注意喚起された事件を思いだしました。これは急性腎障害になったという話ではありませんが、当時ニュースになっていました。
腎臓に疾患のある人を中心に急性脳症を起こす。原因不明の中枢神経障害で,発症初期には脚の脱力感やふらつき,さらに数日経つと、筋肉の不随意運動が出現,その後急速に麻痺や全身性の痙攣,意識障害を起こし,脳浮腫が進行し,死亡する。 主な症状は意識障害,不随意運動,上肢振戦,下肢脱力と報告されている。
摂取から発症までの時間は1から 31 日で,平均して 9 日と報告されている。
厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000143423.html
2004年9月か ら11月に か けて 、新潟県、秋田県 、山形県 な ど東北地 方 を 中心 に原 因不明の 急性脳症 (脳炎)が60余例報告 (内19名 が死亡 )され た 。
ス ギ ヒ ラ タ ケは 食用 と して 以前か ら新潟県や 秋 田県など 日本北 部で は一般的 に 食さ れ て お り、こ れ まで 食中毒 などの 報告 は ない 。 しか し2004年 は 台風 上 陸が 多か っ た よ うに 、異 常気象 に よる環境の 変化 が 、本来安全 とされ て い る スギ ヒ ラ タケ に 何 らか の 変化 を及ぼ した可能性な ど も示唆 され て い る。 も と もとあ らゆる キ ノ コ に は わ ずかで は ある が毒性 を持つ 成分が 含 ま れ て い る こ と も指摘 され た。
日本食品 化学学会誌 (日食化誌)、Vol,14(2),2007
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfcs/14/2/14_KJ00005715102/_pdf/-char/ja
腎障害の患者さんにはサプリメントは腎障害なしの方を対象に想定しているので、基本的にはあまり摂取しない方がいいかもしれない、蓄積性があって腎障害悪化になる可能性もあると話しています。
このように特定の食物で別の病気が発症するというのには驚きました。
カネミ油症
SNSで今回の事件をカネミ油症事件を比較として出している方がいました。名前は知っている方も多いと思います。こちらは食用の油に腐蝕したパイプの孔からPCBが混じってしまい健康被害が出たものです。
カネミ油症とは、昭和43年に西日本を中心に広域にわたって発生した、カネミ倉庫社製の「ライスオイル(米ぬか油)」による食中毒事件です。
事件の原因は、「ライスオイル(米ぬか油)」の製造工程中の脱臭工程において、熱媒体として使用されていたポリ塩化ビフェニル(PCB)、ダイオキシン類の一種であるポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)等が製品中に混入したことによるものです。
東京都保健医療局https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kanemi/kanemi.html#:~:text=%E4%BA%8B%E4%BB%B6%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0%E3%81%AF%E3%80%81%E3%80%8C%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%B9,%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
患者の症状は、吹き出物、色素沈着等の皮膚症状をはじめとして、神経症状、関節症状、呼吸器症状など様々です。こうした症状の改善には長い時間がかかり、現在も症状が続いている方々がいらっしゃいます。
機能性表示商品とは?
パッケージにトクホ、栄養機能、機能性表示商品と書いてあると、その商品の効果を保証される気分になりませんか?
従来は機能性を表示できる食品は特定保健用食品(トクホ)のイメージでいましたが、今回の紅麹のサプリは機能性表示商品といって事業者が健康効果を表示して発売するので、科学的根拠が乏しい可能性があります。
でも消費側としては「悪玉コレステロールを下げる」という商品の謳い文句を目にすると、コレステロールが高いといわれていたけど薬を飲む前にサプリを試そうという思考回路で摂取してしまうのが簡単にイメージ沸きます。
今回亡くなられた方の中には3年前から摂取していた方もいらっしゃるということで健康に気を遣う中で、この効果の表示に惹かれたのだと思います。また原料として使用した商品にはパンやスナック菓子など多岐に及んでいることも驚きました。
小林製薬が販売し、健康被害が相次いで確認されている「紅こうじ」を含んだサプリメントは、機能性表示食品に分類されていた。国の審査を経ずに、事業者の責任で一定の健康効果を表示できるため、商品数は増え続け、市場規模も拡大している。
機能性を表示できる食品はこれまで、国が個別に許可した特定保健用食品(トクホ)と国の規格基準に適合した栄養機能食品に限られていた。
機能性表示食品は2015年に導入された制度で、事業者の責任で、科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示できる。事業者が届け出た情報は消費者庁のホームページで確認できる。小林製薬のサプリ「紅麹(こうじ)コレステヘルプ」は、「悪玉コレステロールを下げる」などと示していた。国の審査がなく、トクホに比べ「安く、短期間で」の表示が可能になることから、商品数(23年10月18日時点)は6789件となり、1055件だったトクホの約6倍にのぼる。
毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20240327/k00/00m/100/258000c
紅麹のカビ毒シトリニンとは?
小林製薬株式会社は2016年にグンゼ株式会社より、紅麹に関する製造・販売事業を譲り受け、紅麹の全ゲノムを解析し、腎障害を起こすカビ毒シトリニン生成不明を証明したとして2020年BMJ genomicsに報告しています。(https://www.kobayashi.co.jp/corporate/news/2020/201002_02/ )
今回シトリニンは検出されていないとの発表ですが、そもそもシトリニンとはどんなものでしょうか?
シトリニンはかび毒の一種でペニシリウム属のカビによってつくられます。
シトリニンはチーズや穀物、果実、日本酒、赤色色素などさまざまな食品や食品素材から発生するカビによって作られることがわかっています。
シトリニンは人体に腎毒性の健康被害をもたらすことがわかっています。これは組織の還元型グルタチオン、蛋白質、DNA濃度を低下させるためで、その作用により、腎および肝障害をもたらすとされています。
症状としては、多尿、尿糖、蛋白尿などの中毒症状がみられます。
https://www.kabi.jp/mould/mycotoxin/citrinin/
多尿、尿糖、蛋白尿などの症状となっているので、今回と同じとは言い切れません。シトリニンに似た構造物が原因でしょうか?全く違うものでしょうか?
紅麹とは?
小林製薬のHPで紅麹を紹介している文章を引用します。
紅麹は蒸した米に紅麹菌(ベニコウジカビ/Monascus属カビ)を混ぜ入れ、発酵させた米麹。発酵によって鮮やかな赤い色素が生まれますが、それ以外にもさまざまな成分が産出されます。しかも、その成分は、かなりパワフル! GABA(γ-アミノ酪酸)やモナコリンKなど高い有効性が実証された機能性成分が含まれているのです。モナコリンKはコレステロールの抑制作用が、GABAは血圧低下、リフレッシュ効果などが知られています。赤い色素成分にも抗酸化作用があり、色々と健康に役立つ可能性を秘めています。
シトリニンとは、食品の生産において使われる様々な菌によって生産されるカビ毒の一種で、腎毒性を持つことが知られています。
紅麹菌の中にも、シトリニンを生産するものが存在しており、実際に市販されている紅麹米サプリメントからシトリニンを含むものが複数見つかったという報告がありました。現在、欧州委員会規則(EC)においては紅麹由来のサプリメント中のシトリニンの基準値が100μg/kg以下に規制されています。小林製薬では、紅麹のゲノム解析を行い、シトリニンを作る遺伝子を持たない紅麹菌を見出しました。シトリニンを作ることのできない紅麹菌を使用しているので、小林製薬の紅麹にはシトリニンが含まれません。
https://www.kobayashi-vs.co.jp/benikoji/component.html#:~:text=%E6%82%AA%E7%8E%89%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%92%E4%B8%8B%E3%81%92%E3%82%8B%E7%B4%85%E9%BA%B9%E7%94%B1%E6%9D%A5%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%B1%E3%83%81%E3%83%89&text=%E8%A1%80%E4%B8%AD%E3%81%AELDL%EF%BC%88%E6%82%AA%E7%8E%89,%E7%94%A8%E3%81%84%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%82%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
今回の原因の成分はなんでしょうか?
この想定をしていない成分を含む可能性、というあいまいな表現はそうせざるを得ないにしても早く公表してもらいたいです。→その後プベルル酸について報告があり、追加情報記載しました。(3/30現在)
2024年3月22日に発表した「紅麹関連製品の使用中止のお願いと自主回収のお知らせ」に記載のとおり、紅麹コレステヘルプ及びそれに使用している紅麹原料(自社製造)の成分分析を行った結果、一部の紅麹原料に当社の想定していない成分を含む可能性が判明しております。
https://www.kobayashi.co.jp/info/20240325/
今回尿細管間質性腎炎を招いた成分はいったんどんなものなのでしょうか?
腎障害原因物質とされるプベルル酸が検出された?
3/29に「プベルル酸」がクローズアップされました。ただ腎障害が起きるのかはわからず、小林製薬の発表では原因として他の成分の候補もあるようなので腎障害の主因と判断するのは時期早尚と思います。SNSでも名前が聞きなれないので次々とつぶやきがでていますね。
「プベルル酸」は、抗マラリアの作用が報告されているということですがどのくらい飲むと人体に影響があるのかや、腎臓に対する影響は現時点では明らかになっていないということです。また、今回確認されたプベルル酸が青カビからできたものかなど製品中に含まれた経路もわかっていないということです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240329/k10014405791000.html
今後について
ただ今後さらに腎障害のパターン、その患者さんの病気の経過がわかることで、この商品の摂取をやめることだけでいいのか、ステロイド治療までが必要なのかなどはわかってきます。
気になるのは死亡例があること。急性腎障害であれば透析療法で救命ができるはずですので、透析を拒否されない場合には死因は急性腎障害にはならないと思います。もちろん医療機関に受診されていないために腎障害とわからないまま死亡されるケースや透析ができない身体状況ということもありえます。
サプリメントの内服は中高年で多い
今回の記事に出てきた患者さんたちは50代、70代と中高年の方です。今回の商品のターゲットである悪玉コレステロールを懸念するのは中高年ですし、女性は閉経後にLDL-コレステロール値が上昇します。
現に自分も最近40代で病気をしましたが、骨粗鬆症も健診で判明しましたので更年期予防としてのエクオール、骨粗鬆症の対策としてビタミンDのサプリメントを摂取しています。同じものをドラックストアで購入して約3カ月になります。
病院で検査、治療を積極的にするまでもない段階でサプリメントを自助努力としている方も多いのはないか?その健康に多少気を遣う中で、そのサプリメントが別に健康を害するとは思っていません。
今回のサプリメントは発売当初から腎臓を害する成分が入っていたのではなさそうです。途中から混入した場合、市場にいつも通り出回る可能性もあるのか、と怖くなります。
いまは子供にサプリメントを、と考えたり実際に内服しているご家庭もありますね。お子さんのサプリメントも品質、安全性は検証されているものでしょうが、将来を考えると安易に摂取することは控えるべきかもしれません。飛躍した解釈でもありますので、製造会社の方には今後も安全を保証していただきたいです。
病名がついていればサプリよりも受診、処方箋の薬が費用は安い
職場でなんで普通に受診して薬をもらわないのか?と話したこと。
普通にコレステロールを下げる薬は1錠40円程度なので、医療機関を受診して薬をもらうと3割負担(人により1-2割負担もあります)と診察料を合わせて再診ならば1か月分で1000円強、このサプリは1か月分3000円なので費用を考えても高LDLコレステロール血症であれば医療機関受診の方がよいのでは?
そこまででもない、薬を飲むほどでもない、受診はしたくない、でも健康に気をつかって、サプリを選択した経過となると思います。でも処方箋の薬は承認までに段階を踏んでいますし、製薬会社が副作用報告も受けて調査しますので、サプリよりは安全性は高いと思います。どちらも妄信はよくありませんが、よくよく考えてみましょう。
高脂血症の中に隠れる病気があります!
ちなみに高LDLコレステロール血症の中には、家族性の遺伝性のタイプがあり(下記詳細記載)、こちらは心筋梗塞などのリスクが高いので専門機関でしっかり治療介入をすべきですし、甲状腺機能低下症の影響で高LDL血症が起きている場合は甲状腺への治療が必要だったりします。
家族性高コレステロール血症は、LDLコレステロール(悪玉コレステロールと呼ばれています)が血液中で高くなり、若いときから動脈硬化が進んで、血管が細くなったり詰まったりする病気です。特に心臓の血管(冠動脈)に影響が大きく、心筋梗塞や狭心症を引き起こします。一般人口の300人に1人程度おられる比較的高頻度の遺伝性疾患です。重症のケース(ホモ接合体と呼ばれます)は36~100万人に1人以上の頻度と言われており、ホモ接合体性の場合には指定難病となります。
大部分の患者さんでは、若いころからLDLコレステロールが高いこと以外、特に症状はありません。一部の患者さんでは、コレステロールが沈着した黄色っぽい隆起(皮膚黄色種と呼ばれます)が、手の甲、膝(ひざ)、肘(ひじ)、瞼(まぶた)などに見られます。LDLコレステロールは通常、肝臓で大部分が処理されます。しかし、この病気の患者さんでは、血液中のLDLコレステロールを肝臓で処理できないか処理する能力が低いため、その血液中濃度が上昇し、血管壁にたまって動脈硬化が進みます。
https://www.j-athero.org/jp/general/6_fh/
日常の問診の重要性
今回、腎障害について患者さんから病歴聴取をした結果、このサプリが原因ではないかと疑問に思い、製薬会社に問い合わせた医師の皆さんがよい仕事をされています。この時点では製薬会社より、ほかに被害がないからと否定されたようですが、積み重なることで調査の対象になります。
外来、入院での問診での薬剤、サプリメントを聞くというのがありますが、サプリメントは名前を聞いてもよく知らないのが多く、そうですか・・と記憶になく、ましてや製品名まで記載しないこともあります。
問題点を抽出した医師の快挙と思います。気づかれず、このまま摂取が続いていたら被害拡大がさらにあったと思います。
一刻も早く原因物質の解明と患者さんの早期回復を祈っております。
くまさん
改めて日ごろの問診の重要性を自覚しました。
サプリをやめるだけでよくなるといいのですが、怖いのは漫然と摂取を続けることです
これだけ騒がれていますがあまり情報媒体を見ない場合には気づかずにまだ続ている方もいらっしゃるかもしれません
そして不安な方、サプリも薬も人によっては身体に合わない、よくないこともあります
体にいいと妄信せず、いったんやめてみて場合によっては医療機関に相談しましょう!
後日の報告から→紅麹関連製品による腎障害のその後①厚生労働省、腎臓学会からの発表 青カビの存在と機能性表示食品のGMP取得に向けて(2024年5月現在) こちらも併せてご覧ください