「お母さん、お父さんはいつか死ぬの?」子どもから急に問われました。
「おじいちゃんも死んだようにいつかは死ぬんだよ。誰かが生まれたら、誰かは死ぬのが人生なんだよ。」「いなくても心配がないようにしていくからね!」
そう答えたのですが、正解はこれだという回答はないんだろうなと思いました。
高齢出産のデメリットは子どもの成長を長く見守れないことだと思います。
20歳でも40歳でも出産はありますが、子どもが20歳になったら親が40歳と60歳で相当の違いですよね。
子どもが大学に行ったとして、卒業の頃には自分は高齢者の仲間入りという厳しい現実です。もし孫が生まれたら、超高齢者になっているかな?どうでしょうか?
前回おくりびと(死後)~エンゼルメイク、湯灌についてテーマにしましたが、今回は生前、終末期の話となりました。
終末期医療に携わる方、もしくは患者さん、家族さん向けです。
自宅で家族の最期を迎えました
自分の身内は末期がんがわかったのちに「最後は家で迎えたい」と希望しました。ガンの治療のための入退院は専門の病院でしましたが、あとは緩和のみとなったときは在宅医療に切り替わりました。ホスピスも候補でしたが景色がいい場所は自宅から遠く、家族が見舞いに行けないのがネックとなりました。
在宅医療では中心静脈栄養、酸素投与、疼痛緩和のための医療系麻薬の使用をしてもらい、最後まで穏やかに過ごすことでき本人満足気に旅立ちました。
在宅医療のためには往診医、訪問看護師さん、訪問ヘルパーさんそして家族の存在があります。医療サービスが関わっても、24時間みることはできません。当時は自分は地方病院にいたために、私自身は家族としての介護はほとんどできませんでした。
自分の家族の在宅医療を前に「家で死にたい」本人の希望を叶えるためには家で看病ができる人材がとにかく必要で、それが難しいと最期は病院になってしまうと思いました。
尚、自分の考えと矛盾はしますが、何かあったときに不安はあるものの、独居での看取りについては在宅医療専門医の先生のコラム(https://www.asahi.com/relife/article/14380400)が参考になります。不可能ではないという話です。
最後は家か?施設か?病院か?
いえを選んだ場合はどんなひとたちにどの程度関わってもらい、だれがメインで診ていくのかなど、考えることは多いのです。患者さん本人は認知症や高齢であったり、病気のために気力体力が落ちており、自分で色々考えることができなかったりしますので、一番身近な家族が代弁者としてその役割を担うことが多いですね。
病院の場合は、病院が決まればあとは家族としては面会に行くのが主なことです。施設の場合には医療行為が必要な場合は退去しないといけなかったり、本人や家族が希望したらといって継続できるわけではありません。
急性期病院では基本急性期の治療で2週間(病気により変わりますが)で次の慢性期の病院へ転院することで、次の急性期の患者さんを診療するスタンスです。慢性期を担当する病院から施設や自宅に戻れない場合はいわゆる終末期までを慢性期、療養型病院でみていくとなります。
また病院の名前がそのままコンセプトの「おうちにかえろう。病院」(https://hospital.teamblue.jp/about_policy/ )という病院もあります。終末期医療を含めて、自宅に帰ることを目標とした病院です。
さて、在宅医療と病院での終末期医療については読みやすい漫画がありますので紹介します。
さいごはおうちで 在宅医療に携わる医師の視点からの話です。在宅支援をして最後はおうちで迎えるためのサポートをしています。病院では点滴をすることで脱水は防げても、むくみ、胸の水を増やすことで苦しさにつながることもあります。こういう在宅医療のチームの中にいるのは安心だなと思います。
土曜ドラマ「お別れホスピタル」(2024/2/3より全4話 https://www.nhk.jp/p/ts/1ZN13MQ53W/)の告知を目にして、子育て中はドラマを見るのが難しいので漫画の方を読みました。共感できたりできなかったり。でも医療者の人間らしさが出ていて、心温まる話や悔しさが垣間見えたりします。
終末期医療とは?
狭いイメージで終末期医療はがん患者さんで治療ができなくなった場合に疼痛緩和を目的としたケアの印象が強く、現在の定義を再度確認しました。一部改変し引用したので固い文章です。
終末期とは、1.複数の医師が客観的な情報を基に、治療により病気の回復が期待できないと判断すること
2.患者が意識や判断力を失った場合を除き、患者・家族・医師・看護師等の関係者が納得すること
3.患者・家族・医師・看護師等の関係者が死を予測し対応を考えること
終末期における意思表示(リヴィングウィル)① 輸液 ② 中心静脈栄養 ③ 経管栄養(胃瘻を含む) ④ 昇圧剤の投与 ⑤蘇生術 ⑥ 人工呼吸器 :①~⑥についてそれぞれ (1)希望する (2)希望しない
H28年 全日本病院協会 終末期医療に関するガイドライン
ガン以外でも病気や老衰で先が長くない場合は終末期医療の対象です。
リヴィングウィルは本人優先ですが・・・家族に任せられることも多い
病院に入院される際にはリヴィングウィルを確認しますが、高齢ですと認知症のため判断が難しい場合も多く、家族に判断を委ねられることが多くなります。でも急にいわれると「自分で決められない」という方もいます。
90歳とご高齢でも最後まで元気にいたいということから自分で胃瘻を希望される方もいますし、口からものを食べれなくなったらそれまで、点滴もいらない、とおっしゃる方もいます。
医療者は患者さんの死に何度も立ち会いますが、現代の核家族中心となったご家庭では死に立ち会うことはあまりないのではと思います。
意思表示といっても経験がないことを決めてくださいといわれても戸惑う方が多いです。わからなくても決めてほしいのが病院側で、とにかく入院日に決定をお願いしています。入院当日に亡くなる可能性もゼロではないからです。
できることをなんでもお願いしますと希望すると、ご高齢の方が人工呼吸器を装着され、心臓マッサージをされて、最期ということもありえます。
自分で意思表示をして、家族と話し合っておくと、何かあったときに家族がこうしようと決意できます。
日本尊厳死協会のリヴィングウィル(https://songenshi-kyokai.or.jp/living-will )について詳しく記されています。
リビング・ウイルの作成にあたって最も優先されるべきは本人の意思で、大切なことは医療者や家族、あなたをサポートしてくれる方とあなたの意思についての情報を共有し理解しあうことです。リビング・ウイルを作りたくない方は作る必要はありません。書きたい時がきたら作成してください。
協会に入会してくださいという目的ではありません。リヴィングウィルがこんなものなのだ、とイメージしておくただけでもよいですし、家族と話し合うきっかけにもなればと思います。
エンディングノートで考えるきっかけに
これまでの話は比較的高齢者向けでしたが、30-40代の方でもエンディングノートに興味があり、実際に書いている方もいるのではないでしょうか?
エンディングノートとは、終活に関する自分の考えや希望などを残しておくためのものです。自分の死後、家族が困らないように手続きに必要な情報を書いたり、葬儀や介護に対する考えをまとめたりします。エンディングノートは別名「終活ノート」とも呼ばれており、終活をする上で欠かせません。
https://www.tokyohakuzen.co.jp/media/15
女優の財前直見さんが終活に取り組んでいるという記事( https://ihinbook.com/c/vjw6tiu0 )を見ました。終活ライフケアプランナーの資格を取得していらっしゃるそうです。その記事をみた当時にエンディングノートが気になったのですが検索程度で実行はしていませんでした。エンディングノートに延命についてどう考えているかを記しておくのもよい、そのきっかけになると思います。
今回読んでいただいて、最期をどこで?どうやって?どこまで?など考えるきっかけになればと思います。
子どもの言葉を契機に、家族のためにも取り組んでおこうと思いました。
[…] 先日 どこで最期を迎えるか?お家or施設or病院? 最期を迎える場所についての話をしました。 […]