バレンタイン当日に夫に箱(チョコレート)をあげるのを子どもがみて首をかしげているので、子どもたちにはアンパンマンチョコをあげました。喜んでいました。
1月後半からはバレンタインで店頭にチョコが出回る季節です。今回はチョコつながりで腎不全とカリウムの話をします。カリウムが気になる方、腎不全について気になる方向けです。
腎臓が悪いと尿からカリウムが出にくくなる
震災と透析医療 東日本大震災を振り返って で透析患者さんのカリウムの注意について触れました。透析患者さんも、透析には至らないまでも腎機能が悪い患者さんもカリウムをとると血清のカリウムの濃度が上がってしまいやすくなります。
そのため腎臓が悪い方には、食事療法としてはたんぱく質をとりすぎない、塩分を控える、カリウムを控える、リンを控えるといった指導がされますが、特に命に直結するのはカリウムなので、採血でも腎機能のクレアチニン以外にはカリウムに注目しています。
どんなものにカリウム多いの?
というわけで日ごろから腎不全の患者さんはどんなものがカリウムが多いかチェックしている方が多いです。
カリウムが多いものは果物、野菜(イモ類多い)です。カリウムは細胞の中に多いので細胞が多いものは当然高いのです。
カリウムに注意する食べ物の一覧表を渡したりしますが、覚えられない方も多いので、果物全般、特にバナナは注意、生野菜は注意、お茶の中では緑茶に注意してと端的に説明します。そしてお菓子も多いので100%果物ジュース、ナッツ類、チョコレート、アイスクリーム、豆系の甘納豆などもです。
スマホやネットからアストラゼネカのカリウムについて( https://www.hyperkalemia.jp/hakarium/)、カリウム含有量についてhttps://www.hyperkalemia.jp/dictionary/ をチェックしてみるのもよいですよ。またハカリウム( https://www.hyperkalemia.jp/hakarium/)もあります。
アストラゼネカとエクサウィザーズが共同で開発したアプリケーション「ハカリウム」に期待が寄せられている。ハカリウムはスマートフォンのカメラで食事を撮影するだけで、食事に含まれるカリウムなどの栄養素を測定することが可能である。
https://www.carenet.com/news/general/carenet/55591
チョコレートもカリウム多いです
そうチョコレート!詳しく説明します。
市販の板チョコは1枚がだいたい50gです。そしてチョコ50gあたりカリウム220㎎。
カリウムが多い果物として有名なバナナは1本126gですが100gあたりカリウムは360mg、バナナ半分弱の50gが180mgなので、同じ量を食べるとバナナよりチョコレートの方がカリウムの量が多いです。
ちなみに腎不全の方の1日あたりのカリウム制限は1500㎎以下です。1食あたりは500mg以下を目指すとなると、板チョコ1枚は1食分のカリウムの半分弱を占めます。
なにが言いたいかというと腎臓悪い方へバレンタインにチョコレートをもらって1箱パクパク食べると血清カリウムが急上昇する可能性が大です!
腎機能悪い方にお勧めお菓子は?
飴やマシュマロは少ないです。そして引用すると以下のような具合です。
ういろう、ぎゅうひ、水ようかん、パイ菓子、ゼリーキャンデーなどは、エネルギーも取れて、比較的リンやカリウム、塩分が少なめのおやつです。
https://www.toseki.tokyo/blog/snack/
書いていて、バレンタインにはどうも味気ないですね・・・
1日の食事のカリウムを気を付けて、注意してチョコレートを気を付けて食べる。一気にチョコを食べない。あたりが無難だとは思いますが、腎臓の悪いとわかっている場合には果物の差し入れやチョコ、ナッツ類などは気をつけましょう!ポテトチップスもイモ由来で結構上がります。
ある日の外来での会話
あれ?今回カリウムが5.8 mEq/Lと高いですよ!何か果物食べましたか?
親戚からミカンをもらっちゃってさ、いっぱいあるから毎日食べているだ~
そう、患者さんはわかっていてもらったからと食べてカリウムを上げてしまうという方もいます。
カリウムが高いと命の危険!
通常はカリウムが多い食べ物を食べてもカリウムは上がりません。
腎不全の方はカリウムの排泄が悪いので上がってしまいます。怖いのはカリウムが高くても症状がでにくいこと。吐き気やしびれ、脱力感を自覚する方もいますが無症状の方が多いです。カリウムが高いと心臓が停まるような不整脈(心室細動や心静止)が起きて倒れてしまいます。
腎臓内科ではよくカリウムが高い!と他の科から電話がかかってくることがあります。とにかく心電図モニターをつけて、カリウムの値や心電図の波形からは静脈から薬を投与したり、緊急透析に走ったりと緊急を要する事態です。
バレンタイン事情
今度は個人事情について。若いときには勤務先が大学病院や総合病院のときは上司も同僚も男性が多いので義理チョコを買って配ってが大変でした。もう郷に入っては郷に従えなのです。
今は年齢も重ねて、職場の男性は年上の方数名ですので自分も食べたい少し高めのチョコ菓子を買って、医局の机において「みなさんでどうぞ!」と女性陣とも楽しんでいます。
バレンタインの由来は・・・名の由来の司教さんが処刑された日!?
チョコレートは明治!のHPで諸説が紹介されています。
2月14日はかつて「聖ヴァレンティノ」の日でした。
ローマ帝国最盛期の175年ごろイタリアのテルニという町に、のちに司教となるヴァレンティノ(ヴァレンタインは英語読み)が生まれました。
https://www.meiji.co.jp/hello-chocolate/culture/25.html
当時の皇帝クラウディウス2世は強兵策を講じており、兵士の結婚を禁止していましたが、ヴァレンティノは若い恋人たちの願いを聞いて多くのカップルを結婚させました。そのことが皇帝の不興を買い、処刑されます。その処刑の日がヴァレンティノの殉教日 2月14日です。
その後、死を悼む行事→愛の告白の日→日本ではモロゾフの創業者さんが商業的に始めたという流れ(諸説あり)です。
日本で贈り物をファッション化し、新しい生活習慣を育てたいと思っていました。そこで昭和11年(1936年)、当時の英字新聞に「バレンタインデーにチョコレートを贈ろう」と、ボックス入りのチョコレートの広告を載せました。
色々思うところがありますが、自分の中では年に1回おいしいチョコレートを食べる日としてみていきたいと思います。
チョコが売れてチョコレート屋さんがもうかる日なのよ~
と子どもたちにはさらっと言ったので、いずれ真相を伝えなければ!といただいたチョコレートを食べながら書いています~(患者さん すみません💦)