昔どうしても返せなかった謝礼金は、自分のために使うことはできなく、医学部時代の部活の後輩に寄付として渡しました。
医師の謝礼金は表立って受け取れないものです。そして自分が内科医のため、あまり金銭に関連した謝礼をと言われることが少ないので、実体験は少ないです。
医師への心づけは不要なのですが、手術を控えてですとか、そのあたりが気になる方向けになります。
なぜか聞かれる謝礼金について
今度手術するんだけれど、お医者さんへはいくら渡せばいいのかしら?渡すならいつがいいの?
基本的には渡さなくていいよ。特に国公立の病院は公務員だから受け取れないよ。
私立系は渡せば受け取ると思うけれども。
外科は一人ではなくてチームで見ていたりするからね。
退院の日にお菓子と一緒にみなさんでどうぞと3万円くらい渡すのかな?
外科系は手術という治療がありますので、患者さんは謝礼金を考える方がいらっしゃると思います。実際、親戚からその相場や知り合いが手術を受けるので聞かれたから教えて!と気軽にメールが来ることがあります。
ただ、自分が医師なのに謝礼金の相場をいうのもなんなのですが知らないので、ネットで調べてこんなかんじかなという正答ではないが、無難な回答をしてしまっています。
とはいえ、自分が受け取る側からこのくらいの謝礼金です!という医師なんていないでしょう。
謝礼金で手術の質はかわらない!
はっきり言って、病院に手術代を支払っているので謝礼金によって手術内容が変わることはないですし、それで対応が変わるとなるとかえっておかしい病院です。もしかすると担当の先生が少し長めにお話するとか、ほんの少しの融通はあるかもしれませんが。
しかしながら、わりと気にするのが日本人なのだと思います。基本渡さなくていいですし、たいていが「病院で原則禁止されています」といわれて押し問答をしながら受け取る・・・というパターンが多い?と推測しています。
本当は医学の専門書は平均で数万円単位するので医学書代として自由に使えるお金が欲しいな~という気持ちはあります。お金というよりもアイテムが自由に使えるといい。大学には図書館があって、ネットの医学系論文の入手もできたりと、教育機関であるが故に充実しているのですが、地方病院、大学以外の病院では図書館はない方が多いのです・・・
日本医師会HP(https://www.med.or.jp/doctor/rinri/i_rinri/b14.html)より下記転載させててもらいます。当然の話ですが簡潔です。
- 原則、患者からの謝礼はもらわない。
- 特に、病院の規則などでもらわないとされている場合はもらわない。
- 患者・家族の素直な謝意と感じられたらもらうこともありうる。
- その場合も、常識的な範囲であること。
- 物品をもらったことで、患者を差別するようなことはあってはならない。
外来で頂いたものでありがたかった思い出
先生、おはようございます。どうぞお茶です!
外来をしていたときに朝いちばんレベルで来てくれる患者さん(夫婦で)。ペットボトルの冷たいお茶を必ず差し入れてくださいました。外来では診療合間に水分をとらないと、話まくるので喉がカラカラ。自分でもお茶を持っていますが、気遣っていただいてはじめのみお断りしましたが、どうぞどうぞ!と元気よく言ってもらい、その後は頂いてしまっていました。
先生、甘いもの好き?お子さんと一緒に家で食べてよ~。お勧めのアップルパイだよ!
外来で慣れたころに途中から自分もお勧めのアップルパイなどを差し入れてくださるおばさまがいました。家に持って帰って頂いていました。おいしかったです。
医学書って高いんでしょ。これで買ってよ!
図書カードを渡されて医学書を買ってよ!といわれたときは、よくわかっていらっしゃるな~と思いました。
先生、ほら今年も生きがいいよ~!
これは自分ではないのですが、海沿いの地方の病院では上司には魚介類が差し入れされていました。で、近くの料理屋さんにお願いして捌いていたただいて、ごちそうにあやかったことがあります。
生もの系を持って行ったらいいよ!ということではないのですが、食べてなくなるものは頂いてしまいやすいです。あくまで自分の例なので、主治医に今度アップルパイをケーキを持っていこうというのはやめてくださいね。
自分がお礼に渡すもの
先日はありがとうございました。他の先生とつまんでくださいね!
これまで出産や子どもの入院や外来でお世話になった先生には退院後や外来でお菓子の箱を贈ったり、渡したりしています。自分もそうなのですが、自分では普段買わないおいしいお菓子を疲れた仲間でつまむのが自分にとっては嬉しいことなので、お菓子を贈って、皆さんで召し上がってください!と添えるのが自分にとっての謝礼の正解です。
お礼の手紙、はがきはそれぞれ
丁寧に退院後にお手紙をくださる患者さんもいらっしゃいます。私はいただいてうれしい気持ちがありますが、筆不精でお返事をかかないことが多くなるのでいただくのが申し訳ない気分にもなります。
事情はそれぞれあると思いますが、おそらく外科や小児科などではその後元気になったことを外来や手紙で報告されるのは医師たちの元気の源になるのでは?とも思いますよ。
そもそも大学病院勤めの給与が安いのが問題では?
大学病院の医師は基本給は低く、週1回や週末にほかの病院へバイトに行ってプラスの所得を得て生活をしています。
大学病院の教授の給与は今はわかりませんが月40万円まではいかなかったりしました。講演料やバイト代でもって家族を養っています。
薄給と世間に照らし合わせては言えませんが、労働時間以外も研究に費やしたりと謝礼金いたただきたい!という姿勢の医師はなくなりませんね。
大学病院で働く医師の平均年収は約739.5万円で、医師全体の平均年収を大きく下回っています。また、年収が1,000万円以上の医師の割合ももっとも少なく、約22.9%にとどまります。
https://medrt.com/contents/1664#outline__1_2
これ自体も初期、後期研修医や助教の先生はそれ以下ですし、ボーナスもありません。大学の当直代は1万円程度なので、労働時間あたりの給与としてはマクドナルドより低賃金です。(病院により金額は変わりますが・・・)
病院への貢献という意味では病院への収益へつながる方法があります
医師個人への謝礼よりも、病院への寄付という方法や差額ベット代の高い部屋に入ることもその病院の収益アップにつながり、長い目ではその病院への医療者へ還元されるのではと思います。
政治家たちの裏金問題には辟易!
医者もお金に惑わされず、正々堂々としていればいいですが、都内の大学の給与は低いので病院側にもっと上げて医者がバイトで出稼ぎにいかないでもいいようにしてほしいです