てんかん なさそうでありえる身近な病気 高齢者も1人/100人と多いですよ!

女医ママ
くまさん
女医ママ くまさん

車の事故 運転手さんが「てんかん」の診断で運転禁止されていたのに運転して事故というニュース 

おいおい、運転しちゃだめでしょう!

今回はてんかんに関係がないと思っている方にも読んでただきたい内容です。

てんかん患者さん、そんなにまれではありません。小児の病気と思う方もいるかもしれませんが成人でも発症します。想像よりも多いと思います。まとまった情報が てんかんinfohttps://www.tenkan.info/ )というHP情報がありますので、こちらも見ていただくとよいと思います。

てんかんのある方は1000人に5~8人(日本全体で60万~100万人)と言われています。乳幼児から高齢者のいずれの年齢層でも発症します。特に小児と高齢者で発症率が高くなりますが、30~40代の方でも発症することもあります。

厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000070789_00008.html#:~:text=%E6%9C%89%E7%97%85%E7%8E%87,%E3%81%A8%E8%A8%80%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

診療科はお子さんでしたら小児科、成人でしたら神経内科、脳外科になります。病院によってはてんかん専門外来を設けているところもあります。

腎臓・透析診療でも遭遇するてんかんの患者さん

これまで腎臓の外来でてんかん発作で診断した患者さんや透析患者さんのてんかん発作でてんかんと診断した患者さんたち数名を診療してきました。

<とある腎臓内科の外来の一日>

タクシー運転手(患者さん)
タクシー運転手(患者さん)

こないだ事故っちゃったんだよ。いつのまにか。

え?意識がなくなってなら不整脈とか頭の病気とか調べないとですよ。

患者さん
患者さん

今度お願いするよ。

・・・(座ったたま反応なくなり四肢のつっぱり、痙攣発作を起こす)

女医ママ
くまさん
女医ママ くまさん

●●さん!わかりますか?

(周囲へ呼びかける)●●さん、意識なくなりました。応援お願いします。

この患者さんは仕事がタクシー運転手さんで65歳以上の高齢者に該当します。これまで2回車の車の事故を起こしていました。原因はわからないと言っており、これは意識がなくなる病気なのでは?危ないから検査して行こうと話していたタイミングで痙攣発作を起こし、てんかんと診断ができたケースです。

他にも脳梗塞や慢性硬膜下血腫になったことがある方がのちに痙攣発作を起こして、てんかんという診断を得た患者さんも数名診療しました。

65歳以上は100人に1人以上がてんかん!

65歳をこえると100人に1人以上がてんかんを発症することがわかっています。

てんかんは「けいれん」をおこす病気と思われがちです。しかし、実際には、ほとんどの高齢のてんかんの患者さんは、けいれん以外の症状が中心で、一度もけいれんを起こしたことがない方もたくさんいます。てんかんの発作中や、発作前後では、ぼんやりとしてその間の出来事を忘れるため、認知症に間違われていることも時に見られます。高齢者のてんかんには薬がよく効くことが多く、きちんと診断されて治療を始めれば症状がなくなってしまうこともあり、生活が様々な面で改善することが期待できます。

国立長寿健康研究センターHP: https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/21.html

実はこども同様にてんかんを発症する高齢者は多いのです。疑うときは神経内科に受診がよいでしょう。

色々な症状がてんかんで起きてきます。もちろん、一人の患者さんで様々なことがおきることもあります。しかし、多くの場合にはどれか一つの症状を繰り返すことが多いです。あれっ?と思う症状があれば、その症状の繰り返しがないかよく見ていただくことがとても大事です。本人はそのときのことを覚えていないことが多く、発作があったことに気づいていないことがほとんどです。そのため、御家族や周囲の方の協力が大切です。おかしいな、と思う症状がありましたら、ビデオなどの動画を撮っていただくことで、診断や治療の大きな手助けになります。

国立長寿健康研究センターHP: https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/21.html

ということで、てんかんかもという患者さんは事前に本人やご家族の許可を得て、動画撮影できる対応をしたりしました。

てんかんの発作時の対応は?

このとき患者さん自身は意識がないことが多いので、まずは身の安全の確保です。転倒して頭を打って二次被害を受ける可能性もあります。安全な場所に横になってもらうのがよいです。発作がどのくらいの時間続くかを計測し、どんな発作か見守りましょう。

てんかんの診断

脳波検査が一般的です。脳に何か障害があって起きる「症候性てんかん」もあるため原因検索には頭部画像(MRI、CT)撮影も行います。だいたいはこれらの検査は他科でもできますが、脳波の読みは神経内科やてんかん専門医でないと難しいので、ここからは専門科へお願いします。

脳波検査は割と大変!

自分が医学生の実習で班ごとで1名が被検者として脳波検査を受ける機会がありました。私は見守る側でした。頭にペタペタと専用クリームで電極をつけていきます。真っ暗な中で光刺激を受けたりして検査をします。終わっても頭のクリームが取れにくいので、髪の毛を洗って乾かしてから帰るという患者さんもいます。痛みはないので侵襲性はないですが、やっかいな検査の1つだと思います。

てんかん治療は?

内服のお薬が一般的です。急な痙攣には点滴をすることもあります。昔よりも薬の種類が増えて、てんかんのコントロールがしやすくなったのではないかと思います。

てんかんは脳の過剰な電気信号で起きるので、薬はそれを抑える作用があります。そのため副作用として眠気などもあります。1つでコントロールされればよいですが、難しい場合は薬を変更したり追加したり、その匙加減は専門医の眼が必要です。

てんかんと診断されたら車は運転できるの?

発作のあるてんかん患者さんは車の運転ができませんが、発作が2年なくコントロールされている場合は再度運転は可能です。ただてんかん発作については自己申告のため、隠していると運転をそのまましてしまい事故る(NHKニュース: https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukuoka/20240304/5010023604.html )ことにつながります。

運転に支障が生じるおそれのある発作が2年間ないこと

運転免許取得・更新時の病状申告は、社会の一員としての責任です。

https://www.jea-net.jp/wp-content/themes/jea-net220729/img/page/epilepsy/drive/document_pdf_01.pdf
女医ママ
くまさん
女医ママ くまさん

てんかん発作は自分で気づかないケースも多いので、車運転はご法度です!

自分が傷つく可能性も高いですが、何より他人を巻き込み殺傷する可能性があるので安易に考え運転続行はやめてください!

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