難聴の原因はなんでしょうか?
突発性難聴というストレスを契機に起こす疾患もありますね。これは発症早期にステロイド内服や点滴をするので、耳鼻科で診断されると直ちに治療が開始されます。
歌手や芸能人でも「突発性難聴」で仕事をお休みするというニュースありますね。早期の治療で完治することもあるので、早急に受診をしましょう。
また高齢者になると加齢性変化として高音領域が聞きにくくなる「老人性難聴」は多いですね。
最近耳が聞こえない・・・
内科外来で「体調に変わりないですか?」と聞くと、外来患者さんが「最近耳が聞こえなくて、耳鼻科に行こうかな」とおっしゃる方がいます。年齢のせいかな~と話しながら耳鼻科の受診を勧めた結果、「耳垢塞栓」として耳鼻科から返信がくることがあり、本人も心あたりがなかったので、え~!と驚くことがありました。
難聴の一因となる「耳垢塞栓」を覚えておきましょう
耳垢塞栓とはなんぞや?
耳垢塞栓とはその名の通りで耳垢が外耳道を塞いでしまいます。そして、 難聴や耳閉感などの症状が出てきます。
耳垢栓塞は「湿性耳垢」、「耳の小さいお子さん」、「耳垢を出す力が弱くなってった高齢者」に多くみられるそうです。
難聴の原因が耳垢であると、耳垢除去をした結果、聴力が改善します。薬ではなく耳垢をとるだけです。
湿性耳垢とはなんぞや?遺伝なんですって
湿性耳垢については、昔漫画家のさくらももこさんのエッセイで触れられていたことを思いだしました。初期の作品だったでしょうか?さくらさんは湿性耳垢で耳そうじにはまって血が出ても耳そうじをしていたとか。
湿性耳垢は白人に多く9割がこのタイプで、日本人は乾性耳垢が多いそうです。
耳垢については医学生時代に学習として触れた記憶がありません。
Wikipediaにまで耳垢の性質がABCC11遺伝子という単一遺伝子で決定され、湿った耳垢が顕性遺伝、乾いた耳垢が潜性遺伝とのことです。また湿性耳垢は耳の中の耳垢腺=アポクリン腺から分泌される汗が原因で、発汗量が多いため体質的に体臭が強い傾向にある。という情報が掲載されています。
顕性遺伝(以前は優性遺伝といっていました)とは親2人から受け継いだ2つの遺伝子のうち、湿性耳垢の遺伝子があれば子にその性質が引き継がれるということで、もし親のどちらかが湿性耳垢だとその体質を確率の話としてはお子さん2人であれば1人が引き継ぐ可能性があります。
子供の耳垢問題が発生しました
そんな興味深い耳垢ですが、耳垢塞栓がさきほどお子さんにも起きると書きました。
小さい子供の耳掃除は、綿棒で押し込んでしまうので無理にはしないとされています。でも、耳垢がみえるととりたくなるのが人間のサガかと思います。
下の子供の耳垢は乾性タイプですが、耳の中をみても多すぎでとれないどうしようもない状態に陥りました。
耳鼻科を受診します
そこで先日耳鼻科へ耳垢をとってほしいと受診してきました。先生は嫌な顔をすることなく、「ピンセット」「吸引」を駆使して掃除してくださいました。
掃除の間、積もった耳垢がモニター越しにみえるので、視界に広がった耳垢の海が瞬く間にきれいな空間にかわるというのをみるのは爽快な気分となります。
先生に「これから家での耳掃除はどうすればよいでしょうか?」と聞くと「また来てください。耳垢とるだけできてもらっていいですよ。」という言葉を信じて、現在月1回ほどたまった耳垢をとっていただきに通院しています。
おまけの額帯鏡の話
余談になりますが「額帯鏡」は主に耳鼻科で使う診療道具と知っていますか?周囲の光を反射させて喉や鼻の診察をするのです。
多くの医師がつけているイメージだったのですが限られた科のものだったのだ、と気づいたのは学生時代に実習でつけてみたときです。額帯鏡をつけると誇らしい気分となりました。
我が家の子どもの受診で一番多いのが今のところ小児科と耳鼻科が拮抗しています。近所にかかりつけの耳鼻科は2つ確保し、休診日や診察状況で調整しています。
耳垢にあまり縁がない方にはつまらなかった内容かもしれませんが、「へ~」と思っていただければ幸いです。