朝はニュースを聞き流していますが、先日NHKニュースおはよう日本「ヒントは演技?認知症の人との関わり」が放映されつ引き込まれて画面を見ていました。
介護福祉士で俳優でもある方が、会社員・介護者に向けて演劇のワークショップを行っていました。介護職員の役と認知症の人の役を演じます。認知症の人の言葉を否定しない、受け入れること、印象的でした。
今回は認知症に関して、家族や仕事で認知症の方にに関係あるという方向けです。
個人的には祖父や祖母が80代後半になって認知症になったとき 表情が乏しく視線が遠くなり、今の私を見ていないな~という寂しさを感じました。
人は否定されなくない、肯定されたいですね
増え続ける認知症患者さんの数!
人生100年時代といわれますが、認知症があるのかないのか、歩けるのか歩けないのかはかなりのポイントです。人生の中で多くが健康寿命であってほしいもの。健康寿命は「健康問題で日常生活が制限なく生活可能な期間」のことです。
認知症×歩けるとなると徘徊の問題が出てきます。介護者の疲弊ににつながります。
日本における65歳以上の認知症の人の数は、2012年は462万人(高齢者の約7人に1人)でしたが、2025年には約650〜700万人(高齢者の約5人に1人)に増加すると予測されています
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=WwE9LLpYbVZTIDMI
認知症ではない可能性もある!
物忘れ=認知症ではありません!
生理的な年齢相応の物忘れ、水頭症や慢性硬膜下血種など頭になにか原因があって認知機能が低下する場合、甲状腺機能低下症、うつ病で意欲の低下がおき認知症と間違われることもあります。
腎臓では末期腎不全の尿毒素がたまり尿毒症という症状が出てくることがありますが、一症状としては認知症のように理解が遅くなるというのがあります。腎臓移植や透析を始めることで尿毒症症状は改善します。
こういう場合はその原因への治療により症状が改善する可能性がありますので、安易に認知症と周りで決めつけないことです。
認知症についてはどこを受診するのでしょうか?神経内科、脳外科、精神科受診のどれかになります。「物忘れ外来」という認知症を専門にする外来を開いている病院もあります。診察や認知症のテストをして、必要があれば頭部の画像検査も行います。
認知症のタイプは何か?
認知症と診断されたという患者さんは多いのですが、詳しくどんなタイプかがわからない場合もあります。診断の際に具体的なタイプを挙げていないのか?情報として受け手になる側としてはどんなタイプかを知りたいのです。
一番多いのはアルツハイマー型認知症で有名です。物忘れから始まることが多く、次が脳梗塞などに伴う血管性認知症です。レビー小体型認知症は見えないものが見えるという幻視や歩きにくい、転びやすいパーキンソン症状を伴うことがあります。アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症には投薬が可能ですが、残念ながら薬で治るというものではありません。
→https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201308/1.html より上図は転載しました
認知症の身内を振り返って
祖母は90代、祖父は80代で認知症になりました。祖母は自分で歩けにくくなってから、祖父は老人ホームに入れられて(一人暮らしでよかったのに身近な家族の意向が優先されました)から認知症が悪化しました。
孫の自分を孫と認識できなかったり、会話も成立が難しい。昔の元気だったころのやさしさ、頼もしさがなくなっていき、もどかしい思いもしました。元気なころの印象のままでいたいと疎遠になる家族もいることでしょう。
身内が認知症で自分を認識されていないのは寂しいですね。
そして、患者さんである当人はできていたことができなくなる、忘れる、危ないからと包丁や火から遠ざけられる、住み慣れた居場所が変わるなどとつらいことだらけに思います。
行動制限をしないこと「バスの来ないバス停」の話知っていますか?
新型コロナウィルス感染症では多くの高齢者も罹患しました。そのとき認知症の患者さんは自分がベットにいないといけない、出れないのがわからないので感染対策としてもスタッフが困ったという話を聞きました。場合によっては身体拘束されベットで過ごさなくはならなかった患者さんもいたでしょう。
ある施設ではコロナの患者さんの専門の施設となって、コロナの患者さんでも自由に歩きまわってよいとしたと聞きました。周りがみんなコロナであればベットや病室に本人を隔離する必要がありません。
行動を制限されないこと、これは人にとっては大事なことです。
似たような話、どこかで聞いたことがあったと検索しました。「バスの来ないバス停」の話でした。
愛知県豊橋市にある「アンキカフェ」は、認知症の人やその家族、子育て世代など幅広い地域の人が集う「3世代交流カフェ」です。
カフェの一角にあるのが「バスの来ないバス停」。「ぽかぽかの森」と書かれたバス停には時刻表も貼ってあり本物のバス停のようですが、バスは来ません。なぜかというと、これは認知症の人のためのバス停だから。認知症の人がバスに乗ろうとしたときに「一旦このバス停で待ってみましょう」と促して、落ち着くまで過ごせるようにと作られたものなのです。
介護新聞 https://e-nursingcare.com/guide/news/news-6625/#i
徘徊をする認知症の方にも理由がある。危ないから止める、出ないようにカギをかけるだけは解決できません。この介護新聞の中にも「やさしい嘘で認知症の人を守る」と書いていますが、その通りですね。
認知症との関わりでは冒頭にもありますが本人の言い分を否定しないことが大事と思います。
認知症サポーターとオレンジリング
認知症の見守る制度を調べるなかで認知症サポーターとオレンジリングについて知りました。
認知症サポーターは何か特別なことをする人ではありません。
認知症について正しく理解し、偏見を持たず、認知症の人や家族を温かい目で見守る「応援者」です。
その上で、自分のできる範囲でサポーターとして活動しています。認知症サポーター養成講座で得た知識を生かし、近所で気になることがあればさりげなく見守る、まちなかで困っている人がいたら手助けすることも立派な活動の一つです。
認知症サポーターには「認知症の人を応援します」という意思を示す認知症サポーターカードやオレンジリング等が渡されます。
https://www.caravanmate.com/aboutus/
施設にいる認知症のお母さんとの話を書いた漫画「ペコロスの母に会いに行く」を紹介します。ゆっくりとしたほっこり、じんわりとしたコミックエッセイです。
介護者の徘徊が主となる作品ではありませんが「ブラックウェルに憧れて 四人の女性医師」に出てくる女医さんが認知症の父親の徘徊に疲弊していく姿があり、共感しました。
認知症との共存、見守る存在へ
最近、高齢者医療に従事していて、ある一定の割合ですが高齢者の最期は乳幼児のような見守る存在になっていくのだと思っています。生まれたとき赤ちゃんは歩けない、意思を伝えられない、うまく食べられない、排泄はおむつですよね。認知症や身体機能の低下がある高齢者は歩けない、寝たきり、声が出せない、意思疎通がはかれない、食べられない、排泄はおむつが多くなっていきます。
最後の最期まで自立して自分ですべてできて、という高齢者もいます。ただ注意力は低下しているので多少の見守りは必要です。ある日物理的にも突然動けなくなってしまう可能性もありますので一人暮らしでしたら、誰かしら間接的にでも元気に過ごしているか確認は必要です。
そしてほとんどすべて手助けが必要で、自分でできるものがほとんどなく、介入が必要な高齢者の方が多いです。
さて、若い世代では自分が認知症になったら、と考えられないかと思いますが、親世代を始めて認知症の患者さんの家族になる可能性はより現実的です。漫画も1つですし、認知症についての学びを重ねて、見守る姿勢ができ、誰もが認知症サポーターである社会であって欲しいと思います。
認知症の患者さんで嚥下障害で食事が食べれない、ADLが悪くてベットの生活という方がいます。
「なんで食らべれないのか?ここは刑務所なのか?自分は人殺しになったのか?」など問われて、返答に困りました。
食べられないのがわからないまま食べ物が来ないのは本人には絶望的なことです。
傾聴していますが着地点が見えない問題です。