朝はむくみを感じないけれども、夕方仕事から帰ってくると靴下の痕がついてむくんでいる~という経験、わりとありますよね~
それは生理的な浮腫で心配はいりません!
今回は「むくみ」「浮腫」をテーマに患者さん、医師の卵さんや若い方、内科以外の専門の方向けになります。
病的なむくみとは?
腎臓内科の外来には「浮腫」を詳しく調べてほしいと紹介状を持って来院される方がいます。浮腫イコール腎臓病ではありません。
医学生さん向けには浮腫には全身性浮腫(顔、腹部、足など範囲が広く、両側性にむくむ、早期だと足だけなどということもあります)と局所性浮腫(足だけとか一部のみの浮腫)があってと分類から話すのですが、今回は要所のみにします。
片足のむくみに注意!
が、限局性浮腫の中で危ない浮腫として局所性浮腫の一つの原因となる下肢静脈血栓症があることを覚えておけばいいとです。こればだいたい片足だけがむくむ、それは手術の後やじっと動かずにしている時間が長いと起きやすいです。
なぜ怖いのかというと下肢静脈血栓症から肺梗塞となると危険です。これは足の静脈に血栓ができてそれが肺動脈に詰まって梗塞を起こすという病気です。肺梗塞は昔でいう「エコノミー症候群」、飛行機でエコノミークラスで長時間フライトをしてその後に片足がむくんできて、立ち上がって歩いて急に胸が苦しくなって発症します。いまはエコノミークラス以外でも起きることがわかっているので「旅行者血栓症」と名前が変わっています。
全身のむくみの原因は大きく3つ!心臓、肝臓、腎臓です
全身性の浮腫の原因としては内臓系では大きく分けると3つあり、心臓、肝臓、腎臓です。もともと持病があるとそれが原因かな?というのがあって、わかりやすいですが、全く病院にかかっていない場合や突然発症もありえます。
念のため一番最近受けた健康診断の結果を確認しましょう。胸部レントゲンで心拡大、胸水貯留があれば心臓由来の可能性が高いですが、検診で要精査となっているはずです。
またB型肝炎やC型肝炎ウィルスが陽性であったり、長年お酒を飲んでいてこれまで腹部エコーで肝炎や肝硬変、採血で肝障害でひっかかっていると肝臓由来の可能性があります。
腎臓は尿蛋白陽性の場合が怪しいです。腎臓由来でむくむほどというのは「ネフローゼ症候群」の状態が多いので、多量の蛋白尿が出ていると診断となります。
薬剤性を忘れない!むくむ前にクスリがかわっていませんか?
内臓系と分けて、もう1つ。薬の副作用のむくみもあるのです。
漢方のところで「甘草」に注意!としましたが甘草でもむくみ可能性あります。甘草が含まれる葛根湯を市販薬で内服を長くしていてもむくむ原因になるわけです。風邪で1週間内服ではむくみはでないと思います。
このほか、血圧を下げるお薬でカルシウム拮抗剤などでもむくみになります。
いつも飲んでいる薬がむくみがでる数か月前から変わっていないか?を要チェック
受診するときはまず内科から?
むくんだら内科を受診しましょう。検診結果を持参すること、お薬手帳も持っていて、もし変わったり増えた薬があれば先に〇をつけておくなど説明できるようにしておきましょう。薬手帳が更新されて新しくなっているときには古い薬手帳も持参してくださいね。
さらにつけたしでサプリや市販薬でもむくむ可能性があるので伝え忘れないようにしましょう。
その内科で対応できればOKですし、専門家受診が必要と判断されれば、紹介状をいただいて専門科へ受診しましょうね。