専門外来(特に内科)に初診するときの心得 

女医ママ
くまさん
女医ママ くまさん

内科の専門外来を担当して10年以上になります。

近くのかかりつけのクリニックや診療所と比べて、大学や総合病院は敷居が高いかと思います。

患者さんがはじめて専門外来を受診されるときに、知っておくといいことを伝授します!

自分や家族がこれから専門外来へ受診する予定の方向けです

(2024年5月に大幅に加筆しました)

初診曜日・担当医師は重要です!(追加)

初診予約をとってから受診するケースと予約なしで受診するケースと両方あると思います。初診担当の先生がずっと担当する場合と、次からは別の先生が担当する場合とあります。初診担当の先生が引き続き、担当する場合は同じ曜日、時間帯でみることがあるので、受診曜日が同じとなる可能性を考えておきましょう。

また診療科では特殊な疾患はその特殊専門外来の受診を推奨する場合もあります。受診の科が決まって、どの先生に診てもらえるのか指定できない方が多いとは思いますが、特定の疾患でその道のプロにかかりたいときは予め初診で診療してもらえるかを病院側に聞いておくとよいですね。

初診では時間に余裕をもっておきましょう(追加)

外来では初診予約をとっていても2-3時間待つことはよくあります。

初診予約を再診予約の間で見る診療科もあったり、急患対応も一緒にしている診療科もあるからです。また初診患者さんが思った以上に重症で当日診察、検査をしてそのまま緊急入院が必要となると途端にかかりきりになり30分以上時間を要することもあります。また外来主治医が入院主治医で対応もしている場合には病棟の急変対応で外来が一時ストップする事態もあります。

さらに受診したから当日検査をして、結果をまた当日聞くこともありうるので、仕事がある場合には半休ではなく、1日のお休みで初診の受診に臨む方が時間を気にせずに安心です。

初診の方で後の仕事があるので早め希望と伺うことがありますが、患者さんの個人的都合で早めに診察をするのは難しいです。病状として重いので急ぎの対応が必要であれば優先度はあがります。具合が悪くてという場合には受付に申し出ておきましょう。長い待ち時間の間に倒れてしまって・・・という方も稀にいらっしゃいます。

くれぐれも個人の私的な事情は加味できませんのであしからず。

そして受診後もそれで終了ではなく、会計でまた並んで時間がかかったりするので油断はできません。

患者さんは初診時に何をもっていけばいいか? ~腎臓内科を例にして~

その病気の原因がなにか?というのは重要なことです。

腎臓内科の場合は薬による腎障害が割とあります。骨粗鬆症のビタミンD製剤による高カルシウム血症による腎障害、痛み止めのロキソニンやボルタレン、抗生剤、胃薬(プロトンポンインヒビター)による腎障害も割とあります。

(後日追加)紅麹関連サプリメントによる尿細管間質性腎障害、Fanconi症候群の話題もありました。詳細はこちらへ→~紅麹関連製品による腎障害~尿細管間質性腎炎知っていますか?機能性表示食品とは?その高LDL血症はサプリでいいの?

ですので薬剤歴やサプリメント歴は聞かれたら即答できる必要があります。これにはお薬手帳の管理が日頃からできているとお薬手帳で網羅されますし、今はスマホアプリでお薬手帳が見れたりもします。サプリメントは継続して摂取していると、サプリメントは飲んでいますか?の質問に飲んでいません!と回答してしまったりもするので、飲んでいるのはサプリなのかは意識しておきましょう。

紹介状なしに飛び込みで来るとこちらも1から聞かないといけないし、患者さんの初診料も紹介状なしの場合には病院設定のお高い金額を請求されるので、紹介状はもらってきましょう。

紹介状はどこでもらうか?→かかりつけ医、かかりつけ医がない場合には会社であれば産業医さんに書いてもらってください。

検診や採血のデータ既往歴(何歳になんの手術をしたなど)、薬剤歴(いつから薬がはじまったか、変更や追加はないか)とお薬手帳を持参しましょう。

腎臓や循環器内科だと、血圧の推移や体重経過も知りたい情報です。疾患によっては遺伝性の可能性もあるので、血縁のある家族の病気も把握しておきましょう。

この持参するものについてはおおそよの内科専門外来で共通です。初診時に不足情報があれば聞いて、次の外来で持参しましょう。

1人で心配なら付き添いをお願いして、付き添いがいなければICレコーダー(医師の許可必須)! 

患者さんが高齢者や理解力が乏しいという方の場合は家族に付き添いを頼んでください。

付き添いがいない場合はICレコーダーの活用もありです。理解が難しくて後で聞きなおしたいのでといって、受診の際に担当医師に使用の許可をあらかじめとります。ICレコーダーは自分でのちに聞いて、聞き逃した診察内容を復習できる。もしくは家族に聞いてもらいどんな診療内容だったのか、自分から間違った情報を伝えないという意味でもよい手段です。くれぐれもこっそりと外来の担当医師の許可なしでの使用はやめてください。

病院の休憩所やカフェなどのチェック(追加)

初診で採血の検査を受け、同日結果を説明される場合には1-2時間さらに待つ必要があります。待合中に順番が近づいたら呼び出しの機械をもっていく病院もありますし、はじめに1時間は待つといわれた場合には受付に●●に戻りますと言づけて待合室から離れることも可能な場合があります。

病院内で休憩できる場所を見繕っておくと待合室混雑緩和にもつながります。今はカフェが併設したりコンビニやベンチも設定されていたりとしますので、休める場所を確認しておくとよいでしょう。

外来患者さんの中には仲良くなって、外来時間を前後に予約して診療帰りにお茶をして帰るという方もいました。30台女性と60代女性が同じような病気で仲良くなっていたので、主治医から病気の情報は一切もらしませんが待合時間に話して仲間意識がでたんだなぁと興味深かったです。

患者さん、医者側にとって初診時が一番時間がとれる貴重な機会です(追加)

外来には初診外来と再診外来として枠を設けている病院もあるように、自分の中でも初診患者さんは10-15分程度で経過を聞く、再診患者さんは3-5分程度で状態変化を聞くという時間枠で考えていました。この時間は診療科により異なりますが、初診患者さんに時間を要するのは100%確実です。受診経過や既往歴、アレルギーなど問診や診察が必要で、疾患や検査の説明や流れも1通り必要になります。

患者さんたちも初診が勝負と思って、短時間で自分の病気のことを時系列に話せるように、大体聞かれることに対して答える心構えをしていただくとよいですね。

病院によっては問診票に先に記載しておくこともありますね。こちらにももれなく記載しておくことをお勧めします。

問診の流れ(追加)

医者からどのように聞かれるのか?一語一句は同じではありませんが流れの質問は内科では大体が次のようになります。

どうして受診されたのか?【受診理由】

症状は何か?いつから、どのうようになっていったか?

検診は定期で受けていないか?受けていれば異常は指摘はなかったか?【検診歴】

他の病院でこれまで何と言われて、何か治療はしなかったか?【治療歴】

かかった病気や手術、輸血は受けていないか?【既往歴】

処方されている定期の薬はないか?屯用での薬はないか?市販薬やサプリメントはないか?【薬剤歴】

薬、食べ物にアレルギーはないか?【アレルギー歴】

タバコやお酒はたしなむか?【嗜好】

血のつながりのある家族に同じ病気や特定の病気(ガン、糖尿病、脳血管疾患など)はないか?【家族歴】

女性の場合は最終月経、月経周期、月経異常の有無、妊娠、出産歴

職業や生活環境はどうか?ストレスは多くないか?【生活歴】

など続きますが、これらの大半がかかりつけの病院から診療情報としてのお手紙に書かれているのですが、丁寧に記載されているお手紙もあれば「腎障害があります。よろしく!」というような素朴なものまでさまざまなため、患者さん自身からさらに情報を聞いていくのです。

問診により病気の原因を推定することもでき、問診のあとの身体診察、そして検査によって大まかにわかってきます。問診は患者さん本人からしか聞けないと思いきや、周りのご家族の方がわかっていることもあります。それはてんかんの発作の様子であったり、患者さんが意識障害や認知症の場合には家族のお話が重要になってきます。

また患者さんから細かく記載された長文メモを頂くことがありますが、長すぎても時間内に読めないので簡潔に要点をまとめておきましょう。

受診するときは情報は隠さず、伝えきりましょう!隠したせいで違う病気と間違って、不適切な治療をされて困るのは自分です!

女医ママ
くまさん
女医ママ くまさん

2024/3発生した紅麹サプリメント事件から、問診の重要性を再認識しました。

患者さんもサプリメントが腎障害の原因とは当初は思わなかったでしょう。

医師側もそうなのですが、日ごろから何時から何を?に意識しておかなければと思います。

2023/12に掲載したこちらのブログは紅麹事件をきっかけに2024/5に加筆させていただきました。

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