若くても腎臓が悪くなっている?!脱水、痛み止めに注意しましょうね!(健診で気づかれない腎障害)

女医ママ
くまさん
女医ママ くまさん

片頭痛で高校生のころから痛み止めを飲んでいた・・・など経験ありませんか? 今回は知らぬ間に腎機能低下が起きているかもしれないという注意喚起です。またトイレに行きたくなくて水を飲まないという場合もですね。心当たりがある方、一読お願いします。

子ども新聞からの話題提供

週1回で我が家に配達される子ども新聞、興味深いです。

正月明けは能登半島震災、羽田空港の飛行機衝突の話が掲載され、一番裏面には誕生日の花について記載がありました。最近上の子が「新聞見る~」と手に取って、その花のページをみて自分の花、友達の花が何かを読んでいました。

さて、以前箱根駅伝が100回と区切りの記念の年というニュースを掲載しました。(子ども新聞をとるきっかけは以前のブログ参照ください→子ども新聞を読もう!週刊は習慣に!

その記事の中に、今回箱根駅伝を担当するアナウンサーさんが当日トイレに行かないために1週間前から水分を控えていて、当日付き添って実況できるように頑張っているという内容がありました。

あらあら、これって腎機能悪い人だったら、脱水からの腎不全になってしまうじゃないか~、職業熱心なのはいいけれどもこれは健康害なのでは?と仕事への熱心さと矛盾する健康問題があることに気づきました。

若い方の腎障害について

幼児で腎障害を言われる場合は小児科的な領域なので割愛しますが、原因としては遺伝性腎炎や先天性の尿路奇形があります。

10-20代の若い方については原因は3パターンあります。①遺伝性の腎炎(多発性嚢胞腎、Alport症候群など) ②IgA腎症などの後天的な腎炎 ③痛み止めや脱水による腎障害

遺伝性腎炎について

①は血のつながったご家族さまがすでにその病気と診断されているケースが多いか、もしくは診断されていなくても腎障害や血尿、蛋白尿の家族さんが多い場合に注意します。

ちなみに、多発性嚢胞腎では脳動脈瘤、脳出血が合併することがあるので、脳出血の家族さんが多くても怪しいということがありますし、Alport症候群は難聴が合併することがあります。

まれに尿の異常(血尿や蛋白尿がでない)がでない遺伝性の腎症もあります。そのような場合は採血で腎機能チェックをしていただくのが気が付くポイントです。

後天的な腎炎について

②は健診で血尿や蛋白尿で引っかかることが大半で、再検査、受診の指示があれば、腎臓内科の受診をお願いします。確定診断は入院をして、腎生検という検査を受けていただくことになります。

血尿で多い原因はIgA腎症という腎炎です。

泌尿器科に行った方がいい血尿もあります

尚、血尿のみの場合は尿路結石の可能性もあるので、泌尿器科の受診を先にしていただいてもよいと思います。

話は変わりますが、小学校時代の同級生が大学生の時に腎細胞がんで亡くなりました。20代でしたが、ガンがかくれていることもあるのです。腎がんは尿の異常でいうと血尿ですが、はじめは症状がないこともあります。

痛み止めや脱水による腎機能障害

今回は③について詳しく話をしていきます。

20-30歳で尿蛋白や血尿なく、腎機能低下する方がいます。その中で比較的多いのが学生時代に片頭痛、生理痛で痛み止めを常用していたケースです。痛み止めの多くは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)に分類される商品名ではロキソニン、ボルタレンなど、市販薬でいうとバファリン、セデス、ナロンエース、イブです。

腎機能が悪くなければ内服してもよいのですが、年単位で続けて飲んでいると腎臓の血液の流れを悪くしたり、同時に脱水状態であるとさらに腎機能が悪くなることがあります。

学生時代は採血で腎機能をみるという機会がないと思いますので、知らぬ間に腎機能が悪くなっていって、会社の健診で腎障害を指摘されるときにはクレアチニンの値がだいぶ高い、もしくはクレアチニンと年齢、性別から出てくるeGFRの値が低いということがあります。

学生時代の尿検査で異常を言われないので医療機関を受診しないのです

学校検尿では尿蛋白や潜血はひっかかるのですが、採血項目はないので腎機能のチェックはできないのです。

この痛み止めや脱水では通常尿検査にひっかからず、知らぬ知らぬ間に腎機能が悪くなっていきます。

予防としては、痛み止めを必要最低限にして、痛み止めを飲むときはしっかり水分をとることだと思います。

片頭痛では市販薬ではなく、頭痛外来で片頭痛用のお薬を処方してもらう方が、腎臓に負担がなく痛みの対処もしやすくなるのではないかと考えます。

30代、40代で腎機能が悪いというケース

尿の異常もなく、血のつながった家族さまに腎機能の異常もなく、腎臓自体の病気ではないなという30-40代の比較的若い方が腎機能障害で紹介されることがあります。

腎臓を悪くする可能性がある糖尿病や自己免疫の病気、感染症(梅毒、B型肝炎、C型肝炎)などさまざまな疾患を鑑別するためスクリーニングで採血、もちろん尿検査、腎臓の画像検査(侵襲性がないので超音波検査)を行います。

それでも異常がないときに最近は内服がなくても、過去の10-20代で月経痛や片頭痛で痛み止めを1-2年よく飲んでいたというエピソードを持つ方がいます。

そうすると過去の内服が腎障害に影響したのでは?と推測することになります。今は内服していなくてもです。

とうことで必要以上に不安になる必要はないのですが、注意していくにこしたことはありません。

1人でも腎機能障害になる方が減るようにと願います。

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