女医さんでは将来の子育てを考えて、どの科にするか、どの病院を選ぶか、悩ましいと思っている方がいると思います。
そんな悩み中の研修医1-2年目の方向きの話です。また女性の医学生さんやこれから子どもを考えている女医さんにも知ってもらいたい情報です。また医局とは?女医、女医ママは何が大変か?と興味ある方も見てください。
医局への入局を決めるのは医師3年目(初期研修医)
専門科をどうするか→医師は自分の専門をどう決めたのか? 腎臓内科編 に書かせていただきましたが、どこの分野にすすみ、どこで後期の研修をするかは初期研修医2年目の夏ころには決める必要があります。
私はこの時期に大学に戻って、腎臓内科の医局に属するという選択をしました。
大学にある専門科の医局に所属するという方は多いと思いますが、他の選択としては研修病院でそのまま研修をしたり、他の大きい病院にある専門科に行く医師もいます。
もちろん専門医を目指さない場合もあり、臨床以外で大学院で研究をしたり、医療官として行政に関わるなどさまざまではあります。
都市部では希望通りに入局や就職できないこともある
以前は比較的希望通りに進むことができました。募集人員を超えると入れないこともありましたが・・・
現在は病院選びで都市部の場合は、都市に集中する医師の偏りをなくすための試験や面接を受ける必要があります。
医師が東京都など都市に集中して地方の医師数が減ってしまうため、都市部の医師の人数に制限が設けられています。そのため希望の診療科の希望の病院の試験を受け、医師の就職に人数制限にひっかかると別の病院を選択しなければならなくなりました。「シーリング制度」といます。いくつか説明しているサイトがあります→ https://doctor.mynavi.jp/column/sealing/
大きい病院を勧める理由
後期の研修として大きい病院を強調するのは、専門科ではその科特有の病気を診るためにはそれなりの患者さんの数が必要となります。
大学病院では関連した病院がいくつかあるので、そこに1-2年派遣されて、さまざまな病気を学んでくるということもできるのです。国立病院機構内でもその関連病院で数年勤務して症例を積むということもあるようです。研修提携病院として、就職する病院以外である期間を研修することもあります。
関連病院へ派遣され、修行してくる
私も大学にははじめの1年間勤務し、腎臓病の基本的なことを学びました。その後、2年ほど関連病院に出て修行のように外来をやったり、患者さんを多く担当して臨床医として力をつけていきました。(イラストのような修行ではありませんが・・・)
大学に入局する理由には学位の取得も(2024/1/23追加)
進む先が大学か否かには学位の取得も絡みます。
学位を取得するには大学院に入るか(甲)、入局して臨床研究をおこなって論文博士になるか(乙)の2通りがあります。論文博士の場合は、大学に入局してデータを集めて臨床論文を書いて博士号を得ることもできます。尚、臨床医でも基礎研究を行っている方もいますが、実験動物の世話をしたり、いろいろと大変のようです。
学位の取得も専門医取得と別のものになりますが、臨床データを集めて研究をする場合は子育て中でも可能かもしれませんが、どのようなテーマか、どのようなかかわり方かでは中断する可能性があります。
学位取得はいいようですが「足裏の米粒」といって、あると気持ち悪いけれども、取っても食えないといいます。大学で教授を目指していく人には必須です。
医師としては専門医の取得の方が就職には有用と思いますが、大学で研究をしながら過ごしたい場合には必要ですね。
子育て女医さんの場合は職場の受け入れ環境に注意が必要
ここで女医さんについてになりますが、お子さんのいない女医さんはどの選択肢でもはじめはいいと思います。結婚の有無は進路を選ぶにはあまり関係がなく、お子さんがいた場合(もしくは今後生まれる場合)に家族の周りの協力がどのくらいあるか、また職場状況として妊娠や出産についての受け入れはどうか?が選択のポイントになると思います。
昔を知る先生からは、ある関連病院にいくときには絶対子供を産まないことが暗黙の了解だったと言っていました。妊娠中は当直ができなくなり、途中で出産のために休むとなると、その病院は欠員1名となってしまうため、上司が公言して妊娠しないことを言われた時代もあるそうです。
専門医資格をすでにとっているか、とる前かでも違う
専門医を取得するには決められた病気の患者さんの担当を規定の人数を満たすこと、外来経験もどの病気の患者さんを何名、何か月以上診療するなど必要であったりと決まっています。
もし専門医取得前に妊娠、出産だと、専門医取得に必要な症例や従事する期間が足りない可能性があります。医局に所属している場合は医局長や教授たちと話し合って、折り合いをつけないといけません。
専門医取得後は30代となり、それから出産となるとたいていは高齢出産にはなってしまうので、若いうちに出産の選択肢は大いにあると思います。
ただ専門医取得後は医局に所属する理由がなければ退局する自由もありますので、医局長や教授と折り合いがつかない場合は転職する自由もあるという点では精神的に楽ではあります。
女医さんは3年目以降の病院を選ぶ際に、妊娠や出産について実際にどうなっているか?を必ず聞く必要があると思います。特にロールモデルの女医さんがいたら、根掘り葉掘り聞いてみてください。
子育て応援体制か否か?
お子さんを気軽に実家に預けられる状況であれば問題は少ないかもしれませんが、妊娠出産、産後復帰に対してWelcomeな職場なのか、産後復帰したときの労働条件がどうか、院内保育園が利用できるのか、などなど気にする事柄はありますね。
特に子供は保育園に入ると周りの子どもたちが持つウィルスの洗礼を受けてすぐに鼻水はでるは、簡単に熱を出したりするのです。「熱なので迎えにきてください」の電話がきたときに自分以外に誰か行けるのか?考えておかねばなりません。
パワフル女医さんで復帰して夜間保育に子どもも預けながら当直をこなす方もいます。そのあたりは人それぞれです。
私個人は晩婚、高齢出産だったため、妊娠のときには専門医の取得はできていました。ただ少なめでも泊まりの当直があったため、妊娠後期に当直は外してもらいました。
夫は医療職ではないのもあり、子どもの風邪については自分と夫と半休を取り合いながら、自宅で家庭保育をすることもあります。
子供の育児の主体は?誰か急病の時に対応するか?
保育園生活が始まる前に、子供が熱を出したとき、だれが子供を迎えに行けるのか、普段の保育園の送迎はどうするのか?を家族としっかり話をしておいたほうがよいです。
すべてが自分でワンオペだと、イライラが募って、経済的に夫に頼っていないのであれば離婚にいたることもありますし、家庭内がギスギスします。
仕事をしているママさんにとって、育児はさらに体力+気力と時間を使います。当直は時間が決まっていますが、子育ての時間は無限です。
産後間もないときに授乳が頻回で深夜に起きていた時に、医師として夜間の当直でも寝れない状況があったけれど子育てとは全く違うな~と思いました。
ただ授乳で大変な時間はかならず終わる時期が来るので乗り越えるしかないですし、うつ状態になってしまうようならミルク哺乳を増やして、その哺乳を家族にお願いして自分が寝る時間をつくるよう工夫しましょう。
子育て応援隊は?
実家の両親や義両親が進んでサポートをしてくれる場合もあるでしょうが、高齢出産では親世代も高齢なので足腰が痛いとか、子どもが万一感染性の強い感染症、例えばコロナ感染だったりした場合に、高齢の親が感染したら生命も危ぶまれる可能性もあり気軽に頼めるか?は考えようです。
登園前にやること:シッターサービス、病児保育を登録しましょう!
親族の助けを借りられればお願いしつつ、ベビーシッター、病児保育など外部からの助けも借りるなど、保育園が始まる前によくよく考えてください。
我が家はシッター登録を子供の病気(疑い 病名でしたが)のために2件ほど断われてしまいました。それでも受け入れOKを言ってくれたところが「ネスコーポレーション」さんで、こちらに申し込みました。事前に自宅に面談に来て、サービスを説明いただいて丁寧な対応に安心しました。ネスコーポレーション→https://ness-corpo.co.jp/
その後、コロナ感染拡大があり自宅に外部の人が入るよりは自分たちでみようと、夫と二人で交互に休んで家庭保育を利用したり、勤務先の病児保育を利用したので、シッターサービスは受けないままとなりました。
ただ何かのときにお願いできるシッターサービスは1つは登録しておいた方が安心と思います。さらに病児保育もしているシッターサービスの方がよいです。
シッターさんの質がどうかはその会社の教育体制や口コミなどチェックしました。ただシッターサービスを受けるときはカメラを設置して保育状況をチェックすることも必要だと思っています。
病児保育について
私の場合、病児保育は自分の勤務先の病院と地域の施設があり、保育園が始まる前に登録をしました。1歳以降でないと登録できない場合もあるので、登録条件をチェックしておきます。
コロナの感染拡大により、発熱時に病児保育の利用はしずらくなりました。利用前に病院でのコロナの抗原検査やPCR検査による陰性を求められる場合もあるからです。その検査の結果を待つと昼過ぎになってしまったり、半日は預けるまでに時間がかかるようになりました。
子育てに正解はありません
いえることはこうすれば正解です!という模範解答はなく、どうすると子どもが安全なのか?家族が安心して過ごしていけるか?だと思います。そこに女医さんの場合に専門医取得をどうするか?も加わります。
そして、できることは事前にトラブルを回避できる予防、対策をすることだと思います。
一人で悩まないで、家族やお近くの女医ママさんにも相談してみましょう!