ステロイド治療を受ける予定、治療中の患者さんや、医学生、初期研修医さん向きの話です。
ステロイドは、腎臓内科医としてIgA腎症の患者さん、ネフローゼ症候群の治療によく用いてきました。副作用の心配される患者さんは多いので事前に説明してきました。
今回自分も内服治療したので、副作用を体験しました。処方医から処方される患者さんとして双方知っておきたいことになります。
ステロイドは自分で作っているホルモン
ステロイドは性ホルモンと副腎皮質ホルモンがありますが、今回治療で説明するホルモンは副腎から分泌されるホルモンのことです。副腎は腎臓の上に帽子のようにのっかる小さい臓器です。(イラストの赤いソラマメのような2つの腎臓の上に黄色の三角形の帽子のようになっているのが副腎です)
ステロイド使用量と使用期間は?
作用時間でヒドロコルチゾン、プレドニゾロン(PSL)、デキサメサゾンなど種類があり、自分が処方するときはPSL換算して投与量を考えていました。
使用量は高用量、中等量、少量、投与期間は長期間、短期間でしょうか。
高用量はプレドニゾロン(商品名プレドニン)換算で体重あたり1 mg/kg(体重50kgでPSL50mg)、中等量は体重あたり0.5 mg/kg (体重50mgでPSL25mg)、少量 5-7.5mgとざっくばらんに分けていました。
ステロイドは注意して、必要時に使うなら使うべきお薬です。
自分にステロイドがはじまってどうなったか?副作用について
仕事柄、学会での症例提示のようにまとめます。
症例:40代女性 経過:乳腺炎を発症し、抗生剤治療4週間に反応せず、肉芽腫性乳腺炎疑いで中等量のステロイドの内服が開始された。内服開始3日目で乳腺炎症状は軽快、同時期より夜間の中途覚醒を自覚した。
ステロイドの副作用は多岐に渡り、短期間投与ではあまり問題になりません。学生さんへ教えるときは頭から足の下へ、体の外側から中に向けて覚えとくとよいと!といっています。すなわち、満月様顔貌、白内障、緑内障、消化性潰瘍、易感染性、骨粗鬆症、耐糖能異常、精神的変化などなど。
注意すべきはPSL換算で5 mg以上が3週間以上の内服がある場合は、自分で分泌するステロイドの量が減ってしまっているので急に自己判断で中止ができないのです。相対的副腎不全といいます。ステロイドを漸減、増加はしますが長期内服下で急な中止はしませんので注意、自己中断はしないように!
自分が内服開始後、数日で出てきたのが睡眠障害でした。22時ころに寝て1‐3時に起床するのです。ただ翌日は精神的な高揚の影響か、パフォーマンスにはさほど影響しません。後は、年齢としては骨粗鬆症が気になるところで、骨密度の検査を受けようかと思います。いつまで内服するかにもかかわりますね。
自分が服用してはじめて睡眠障害が出てきたのですが、これまで患者さんに気分の変動がある、人によって鬱病になることもあるなど可能性は話していました。また高容量のステロイドパルスを行うときは、眠れないという方がいるので事前に説明し睡眠剤を使うこともできると話していました。が、今回中等量のステロイドで睡眠障害が起きるとは予想せず、減量しても変わらず、この後中止するまでは睡眠障害、早期覚醒が続きました。
個人個人、ケースバイケースですが、薬は有効ですが弊害もあるなと実感したこと、副作用の羅列のうよな説明はしていますが、その副作用がでたときに真摯に対応する必要があると実感しました。