今回は「便の色が黒い」ことについてのエピソードやどんなことが原因なのか?をテーマしました。中高年向けの話になると思います。
黒っぽい便=黒色便=消化管出血 と連想してあわてて胃カメラ、大腸カメラだと突っ走っていくことがあります。でも本当に出血なのか?は確認が必要です。もし血液からではなくて黒い色の便だとしたらあわてる必要も過剰な検査もいらないのです。
身内で黒い便で失敗した話(原因は食事でした)
ある日、母から「黒い便が出た!」
え?消化管出血かしら?
子どもが生まれる前の話です。実家にちょうど泊ったときに母から「黒い便が出たの!」と言われました。
数日前に都内の病院で胃カメラを受けていたというので、合併症にしては遅いけれどもかかりつけへ連絡して対応してもらおうとその病院へ電話をしました。
ところがその日は土曜日で病院があいていないので電話は無情にもつながりませんでした。そこで、自分の勤め先にも母はかかったことがあるので勤め先の救急外来へ電話をして受診させてもらうことになりました。
ショック状態ではないですし、普段通りの具合の良さで、黒い便が続いているわけでもないので、救急車は呼ばず、タクシーを呼んで病院に向かいました。
その中でふと何か食べたものあるの?と聞くと「昨日イカ墨焼きそばを食べたよ。物産展で買ったの!」と母より回答が。イカ墨って黒い便でるんじゃ・・・?と救急外来に行くまでに食事由来の黒色便ではと思い直しながら、そうだったら救外受診申し訳ないな・・・と思いながらの受診となりました。
救急外来の問診、診察、採血では異常なし。先生からも食事の影響で心配ないと診断され、帰宅となりました。
黒い便がでたときに鉄剤を飲んでいないか?便が黒くなる食べ物(イカ墨、海藻類など)をとっていないか?という問診不足が招いた勇み足でした。何もなくてよかったのですが慌てて飛び出してしまいました💦
原因が薬ということもあります。(有名なものは鉄剤です)
薬の中でも飲むと便が黒くなるものがあります。鉄剤です。
薬剤の名前としては鉄が元素でFeと書くこと、第一鉄がFerrousということから、鉄剤の商品名としてフェロミア、フェログラデュメットなど頭に「フェ」がつくことが多いです。
主治医から「貧血の薬を処方します」とだけ言われて多いのは鉄欠乏性貧血に対する鉄剤のお薬です。ここで「このお薬を飲むと数日たつと便が黒くなりますよ」と一声添えるとばっちりですが、知らないで飲むと数日後に便が黒くなってびっくりして病院に走ってくることにもなります。薬局で薬剤師さんからの説明や薬の説明書には載っているはずですが、聞き流したり、見逃すこともありえます。
私も妊婦のときに鉄欠乏性貧血があり、鉄剤を飲みました。すると2日には便が真っ黒になって、これが鉄剤の黒色便か!と納得しました。鉄剤が終了したら元の色に戻りました。
ただし、もともと鉄剤を飲んでいるために本来の消化管出血の黒い便が出てもわかりにくくなるということもあります。
そもそも鉄欠乏性貧血の原因はそのまま鉄分の不足ですが、食事由来が足りない、妊娠や授乳など鉄が多く使われて足りない、血が出ていくことでの不足もあります。
女性では月経のたびに血が失われるので男性よりも鉄分不足になりやすいのです。血が出ていくことの1つに胃、小腸、大腸からの出血ということがあります。
急いで病院にいくべき黒い便(上部消化管出血)
胃や十二指腸から消化管の中でも上の方にあるところ(上部消化管)から出血した場合は黒い便がでます。タール便といってねっとりした便となったりします。大腸や肛門近くの出血は赤い血液が入った血便になります。
黒い便が続いたり、大量だったりすると体の血液が減って、症状としてふらつき、だるさ、めまいが出てきます。顔色も真っ白になったり、血圧も普段の測定値よりも下がっていたり、脈は速くなっています。そんなときは自分で運転して病院に行く、交通機関を使って病院を受診するはNGです。出血が続くと、ショック状態、意識を失う可能性もあるので、救急車を要請しましょう。十中八九、緊急入院となります。
とくに血をサラサラとするお薬(バイアスピリンなどの抗血小板剤、ワーファリンなどの抗凝固剤)を飲んでいる方は出血のリスクがあがります。要注意です。お薬手帳を持参することで、薬の名前を憶えていないまま、かかりつけではない病院受診する際には先方も薬をすぐに把握できます。
ちなみに鼻血が多く出て、その鼻血を飲んでしまっても黒い便になります。
便関係の話がこれで3つになりました
以前便秘の話( 便秘で困っていない?!便秘はQOLを低下させる! )や糞の話( 糞のはなし:危険な糞2つ、有用な糞2つを知っておこう!絵本2冊紹介します )をさせてもらいました。振り返ると今回が3回目の便関係の話となります。
水洗トイレ、自動洗浄機能の弊害
水洗トイレが主流で自動洗浄機能もあると排泄後に立ったら流れて便を見ていないという方もいると思います。便や尿という排泄物は自分の健康を反映しています。
日ごろから便の様子、色に注意しましょう!日ごろの便が分からないと異常時の比較ができなく、異常に気付くのが遅くなることがあります!
締めに漫画の紹介です。
テルマエ・ロマエは漫画大賞にも輝き、かつ映画化もされて知っている人も多いと思います。ネタバレですが日本のトイレのウォシュレットに感動する話がものすごく好きで、トイレつながりで思い出しました。気になった方、読んでください!