正月太りという言葉通り、正月休みにお餅も含めてご馳走をいただいて、食っちゃ寝食っちゃ寝していると体重が簡単に増えてしまいますね~。今回は体重に関することです。
過去の体重で医師の若いときまではぽっちゃり体形でしたが、ある病院の在籍期間で一気に体重が減りました。その理由は?
Body Mass Index (BMI)をご存じですか?
体格指数で体重(kg)を身長(m)の二乗で割るのです。病気になりにくいのはBMI 22 (kg/m2)といわれますが、25以上を肥満、30以上を高度肥満、18.5未満をやせと分類します。
検診でもBMI結果が記載されていると思いますので、毎年の推移をチェックしましょう!
大学生のころはBMI21-22のややぽっちゃり体型でした。
体重を減らしたい気持ちがあっても自宅から通学しており、食生活も生活習慣も変わりませんでした。ちなみに最大の体重は肥満の定義となるBMI25近いときがありました。
祖母は食べるのが大好きで、食事はおいしくもりもりいただいていて、ついつい食べ過ぎでお腹いっぱい、はち切れんばかりに食べていました。おいしいものをお腹いっぱいたべることは幸せと思いますし、腹八分の概念はありませんでした。
医師になると病院近くの住居へ引っ越すので自炊になりますが、体重はそれほど変わりませんでした。
ブラック当直で意図しないダイエット
それがある中規模病院で勤務となってから一気に体重が減ったのです。
夜の当直は月5-6回でしたが業務内容が救急外来(救急車からの電話も直接来る)の内科症例の対応、救急外来から入院が入ったら指示出しやその対応、内科の病棟当直として輸血や抗生剤を初回をつなぐのは医師の仕事、看護師さんが入らないという点滴のための血管確保、男性患者さんの導尿や尿バルーン留置、患者さんの急変時に気管内挿管をすると自分で人工呼吸器を運んできて呼吸器の設定するなどなど・・・このすべてが業務内容でとにかく過酷でした。
夜は20時までに病院の食堂で定食を頂くのですが、それ以降は院内にコンビニはないので食べるものがなく、飲み物を買う自販機のみでした。
夜間業務に追われていると、1回の当直で1-2㎏体重が減少、それが続いて、6㎏ほど体重が落ち、BMI20未満になりました。ダイエットというか、やつれていましたね。
若くて心身面にダメージはなかったから笑い話ですが、振り返ると精神面で病んでしまう人もあると思います。働き方改革もはじまりますね。
当時は多忙な当直をしても当直代は1万円で時給にするとマックのバイトより安い!と愕然としたものです。
ちなみにもう10年以上前になりますので、現在はこれほどの業務内容ではないです。また当時は当直が終わっても通常勤務でしたが、現在は当直明けは休みといなっています。
医療系漫画ランキングには入れませんでしたが、「ブラックジャックによろしく」でも研修医の過酷さがでています。
体格も人相も変わった
久しぶりに会う人には誰?と言われることもあるほど人相が変わりました。こんな意図しない健康的でない減量は勧めませんが、体重が減った結果、服のサイズも11号から7~9号となり服の選択が広がり、二重あご気味からすっきりとして身軽になりました。
その後は第二子出産後は40代でもあり、体重グラフとしては上向きになっています。
世間にはブラック企業でやせてしまう、もしくは太ってしまう方もいると思いますが、できるだけ健康的に理想の体重を目指してほしいですね。
高齢者にはダイエットは推奨せず。フレイル・サルコペニアに注意!
最近「フレイル」という言葉が学会でもテーマになっています。直訳は「脆弱性」。高齢者はフレイルに陥りやすいです。これは身体的なもの以外に、社会生活、精神的なものも含まれます。
また身体的フレイルと同義のようですが、「サルコペニア」は高齢期にみられる骨格筋量の減少と筋力もしくは身体機能の低下により定義されて、日本では有病率8%前後とされています。
高齢者がもしダイエットをすると、筋肉量が減って疲れやすくなり、歩くスピードも遅くなり、ますます筋肉量が落ちるという悪循環となります。そして活動性が落ち、意欲が落ち、転びやすくなり→転倒して骨折、入院や介護度が上がったりします。
そこで栄養については中年までの栄養の取りすぎ、メタボの予防として生活習慣病予防のため、エネルギー制限で栄養を考えていましたが、高齢者からはギアチェンジとなって、低栄養やフレイル・サルコペニア予防のため、適切なエネルギーを摂りましょうという話になっています。医事新報の高齢者の栄養管理を参考にしました。→https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=5597
腎臓病の場合は病期が進行していくにつれて、たんぱく質の制限が推奨されていましたが、高齢者のサルコペニアに注意しようという動きのため、現在は高齢者には過度なたんぱく質制限はしないようにしています。
管理栄養士さんは助けになります!
病院で入院時や長期入院中の患者さんの栄養状態を管理栄養士さんが細かくチェックしてくれています。低栄養と判断すると食事状況の改善は図るため介入、食事内容の提案をしてくれます。
健康寿命を延ばすためには、食事、栄養は根本ですね。ダイエットと一言いっても、その人の年齢や持病などでダイエットがかえって健康寿命を損なうことがあります。持病がある方はかかりつけの医師にも相談しましょう。またダイエットでも、病院の栄養士さんに栄養相談をして自分に合ったオーダーメードで食事療法を一緒に考えてもらうといいのではないでしょうか。(栄養士さんが患者さん全員にダイエットを推奨するわけではりません!)
矛盾するダイエットと高齢者のフレイル、サルコペニアの話をしてきました。いずれにしても健康寿命をのばすよう、無理なく明るく楽しい体重管理をしたいものですね!